旧優生保護法に基づいて強制的に子どもができないよう手術された人たちが国に損害賠償を求めて起こした裁判で、最高裁判所大法廷は7月3日、この法律が定めたことを憲法違反と判断し、国の責任を認めました。(「Newsがわかる2024年9月号」より)
また、手術という不法な行いから20年たつと損害賠償を請求する権利がなくなるとした「除斥期間」については、今回の被害者たちには当てはめないとしました。
多くの被害者が手術を受けたのは1950〜70年代ごろで、裁判を起こすまで20年以上の月日がかかりました。障害があるなどして訴え出ることが難しかった被害者が少なくなかったからです。最高裁は、国が除斥期間が過ぎたと主張するのは誠実な態度ではなく、許されないと結論づけました。
この最高裁の判断を受けて、各地で裁判を起こした被害者らは全面的に救済されます。最高裁が法律を違憲と判断するのは戦後13例目で、裁判官15人全員の意見が一致しました。国は2019年に被害者に320万円を支給しましたが、今回認められた賠償額はこれを大幅に上回ります。
旧優生保護法を巡る国家賠償訴訟で最高裁が国に賠償を命じ、「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告ら=東京都千代田区で7月3日
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