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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

避難時も普段通りに過ごせる街を 「未来の土木コンテスト2022」最優秀賞に小6の川戸さん

「未来の土木コンテスト2022」の最終選考会が1月29日、東京・日本科学未来館で開かれ、山口県周南市立周陽小6年、川戸亮輔さんが提案した「シン・防災センター(憩いの場所←→最新防災拠点)」が最優秀賞に選ばれた。

 同コンテストは、小学生から「未来のまち」を描いた絵を募集し、1次選考で選ばれた優秀賞5作品について、応募した小学生とプロの土木エンジニアがともに技術的な検討を加え、発表するもの。公益社団法人土木学会が主催し、日本科学未来館の共催および一般社団法人日本建設業連合会(日建連)の協賛のもと、今回は5年ぶりに日本科学未来館において開催された。

 最終選考会では、優秀賞受賞者と日建連所属の現役土木エンジニア(各6~10人)から成る5チームが発表した。

 最優秀賞の「シン・防災センター」は、平常時は人々の憩いの場として、災害時には避難した人々が安心して、楽しく過ごせる施設だ。この日は川戸さんと土木エンジニア7人がドラマ仕立てで発表した。

川戸亮輔さんの「シン・防災センター」=土木学会提供

 同センターは球体で、下半分は鉄骨鉄筋コンクリート造、上部は三角形を組み合わせたトラス構造で、フロア部分は柱・梁(はり)構造になっている。夏の暑さを防ごうと、川の水をサイフォンの原理で球体下部から上部へ上げ、頂点部分から外壁に流し、全体を冷やす。地下で水力発電、球体表面で太陽光発電、ゴミを燃やす際にはバイオマス発電をし、すべてのエネルギーを自然エネルギーで賄う。公園や科学館、スパ施設もある。そして、災害時には地下に格納した仮設住宅が自動的にレールでフロア部分に設置される仕組みだ。

 東日本大震災時の避難所の映像を見た川戸さんが「体育館で人々が身を縮めて生活していた。少しでも普段通りに過ごせたらいいと思った」のがきっかけだった。「僕の絵は非現実的だったのに、どうすれば実現できるかについて土木エンジニアの人たちが真剣に考えてくれて、楽しかった」と顔をほころばせた。

 前列は最優秀賞を受賞した川戸さん(左から4人目)と土木エンジニアのチーム=東京都江東区青海2の日本科学未来館で1月29日=土木学会提供

 表彰式で塚田幸広・土木学会専務理事は「エンジニアはついつい『このアイデアを実現するためには、どのくらいお金がかかるんだろうか』を考えてしまう。しかし、先人たちは『こうあったら、人々の暮らしがもっとよくなる』という純粋な気持ちからさまざまなプロジェクトに取り組み、その結果として今の都市が生まれた。今日のワクワクした発表を多くの人と、世界中の子どもたちとも共有したい」と話した。

<優秀賞>

 優秀賞4人は下記の通り(敬称略)

「海に浮かぶALL JAPAN島」阿部里桜(千葉県)▽「かんきょうはかいからみんなをまもる都市」俵大智(埼玉県)▽「ごみが出ないまち」坂本爽唄(静岡県)▽「すべてが循環する街」井本結(岐阜県)


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