2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻して4年がたちました。ウクライナの街は破壊され、一般市民の犠牲も出ています。長引く戦いの背景やこれまでの経緯を振り返り、和平に向けた現状を探ります。
ロシアは2022年2月24日、三つの方向からウクライナに攻め入りました。ロシア軍が進んできたのは、首都キーウがある北部、ロシア人やロシア寄りの人が多い東部、クリミア半島がある南部です。ロシア軍の目標はキーウの占領とみられましたが、ウクライナ軍が抵抗したため、達成されませんでした。
その後、戦いは激しさを増しました。4月には、キーウ近郊のブチャで多くの民間人が虐殺されたことが分かりました。ロシア軍は主に東部と南部を攻め、4州(ルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン)を占領。ロシアのプーチン大統領が9月、ロシアの領土にすると一方的に宣言しました。
人口を比べると、ロシアの約1億4600万人に対し、ウクライナは3分の1以下の約4100万人(2022年当時)です。国力で劣るウクライナでは、18~60歳の男性は出国が禁止され、一般市民も軍隊に参加しました。ウクライナ軍は、アメリカやヨーロッパ諸国から武器や資金の援助を受けて激しく抵抗しました。
ロシアが侵攻を始めたきっかけは、ウクライナがアメリカ主導の軍事同盟「北大西洋条約機構(NATO)」に入るのを防ぐためといわれています。
ウクライナはもともと、ロシアを中心とした「ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)」という国の一部でした。1991年にソ連が崩壊したことで、アメリカ陣営との「東西冷戦」が終わりました。それぞれの地域が独立し、ロシアやウクライナなどに分かれました。それでも、ロシアはウクライナを「兄弟」と表現し、自分たちの仲間だと考えていました。このため、ウクライナがアメリカと仲良くしようとするのを許せなかったのです。
ただし、ウクライナではロシア寄りの人たちと、ヨーロッパ寄りの人たちが権力争いを続けてきました。ウクライナ南部のクリミア半島は、2014年にロシア寄りの政権が倒れると、ロシアが「クリミア半島に住むロシア人を保護する」と言って軍隊を送り込み、一方的にロシアの領土と宣言していました。

ロシアのプーチン大統領
NATOは、アメリカとカナダ、ヨーロッパなどの国々が加盟する軍事同盟です。第二次世界大戦後の1949年、アメリカ陣営とソ連陣営が対立を深めていた「東西冷戦」のころ、アメリカが中心になってつくりました。
加盟国のどこかの国が武力攻撃を受けたら、NATO全体への攻撃とみなし、共同で戦うことになっています。ロシアはウクライナがNATOに入れば、国境付近でNATOの影響力が強まり、自分たちの安全がおびやかされると主張しています。
NATO加盟国はウクライナ侵攻後、ロシアと直接戦っていませんが、ウクライナに武器の支援をしたり、防衛力を強化したりしています。また、ロシアと地理的に近く、長年中立を保ってきたフィンランドとスウェーデンが相次いでNATOに加盟し、加盟国は32か国にまで増えました。ロシアはNATOの拡大に神経をとがらせてきました。
ミサイルや戦車、ドローン兵器を使った戦闘によって、両国で多くの犠牲者が出ています。アメリカのシンクタンク「戦略国際問題研究所」によると、ロシア軍の戦死者は最大32万5000人、ウクライナ軍は最大14万人と推定されています。
国際連合人権高等弁務官事務所によると、4年間でウクライナの一般市民の犠牲者は1万5000人、けがをした人は4万人に達しています。これまでに約690万人が難民として国外へ脱出し、国内でも約370万人が古里を追われたといわれています。日本の出入国在留管理庁によると、日本政府は今年3月末までに2889人のウクライナ人を避難民として受け入れ、1965人が国内に滞在しています。
ロシアは、占領した地域からウクライナ人の子どもを大量に自国へ連れ去ってきました。国際刑事裁判所は2023年3月、戦争犯罪の疑いでプーチン大統領らに逮捕状を出しました。
世界中でモノの値段も上がりました。ロシアは石油や天然ガスなどが豊富にとれるエネルギー大国で、ウクライナは小麦の輸出大国だったからです。

ウクライナのゼレンスキー大統領
和平に向けた話し合いでカギをにぎっているのはアメリカの動きです。トランプ大統領は2024年の大統領選挙に向けて「就任後24時間以内に戦闘を終わらせる」と自信を見せていました。プーチンさんと良い関係を保ってきたため、就任後のトランプさんはロシア寄りの姿勢が目立っています。
これまでトランプ政権が示してきた和平案は、ウクライナに領土面で譲るよう求め、NATOへの加盟を認めないなど、ロシアの主張をある程度認める内容でした。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアではなく、ウクライナにばかり譲歩を求めている」と不満をこぼしています。
アメリカでは11月に議会の中間選挙をひかえていて、トランプさんは戦いを終わらせることを成果としてアピールしたい考えだとみられています。一方でアメリカは2月になってイスラエルとともにイランへの攻撃を始め、混乱が深まっています。
(2026年4月16日毎日小学生新聞より)
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