テレビ朝日系の特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊シリーズ」が、第49作「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」を最後に終了します。1975年に第1作が放送されてから、半世紀にわたって世代を超えて愛されてきました。この番組を制作する映画会社・東映で、長年プロデューサーとして作品に携わってきた白倉伸一郎さん(60)に話を聞きました。
第1作は東映が制作し、1975年4月から現在のテレビ朝日系列で放送された「秘密戦隊ゴレンジャー」です。原作は、仮面ライダーシリーズと同じ石ノ森章太郎さん。世界征服をたくらむ「黒十字軍」に立ち向かう5人のヒーローの活躍を描いて大ヒットし、約2年間放送されました。
白倉さんによると誕生のきっかけは、テレビ局の放送枠が空いて、急に番組が必要となったことだそうです。最初に出された、仮面ライダーが5人で戦うという案は実現しませんでしたが、複数のヒーローが戦う形は採用されました。そして、色の違うスーツを着た5人がチームで戦うゴレンジャーが生まれました。カラーテレビの普及も追い風となり、子どもたちの間で大人気となりました。
シリーズを通して赤色のヒーローはリーダーとして活躍することが多く、ほとんどが情熱的で真面目な性格でした。「赤に『熱血』のイメージを植え付けてしまったところはありますね」と白倉さんは振り返ります。
現在放送中の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」は、動物や恐竜などの「獣」が題材になっています。シリーズ初期は明確な題材がないものもありました。白倉さんによると、初めて明確な題材を打ち出したのが1992~93年放送の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」でした。アメリカでも戦隊シリーズを売り出した時期で、ティラノサウルス、サーベルタイガーなど子どもにも分かりやすい恐竜や大昔の生き物が題材になりました。
シリーズ全体を通して子どもに人気がある題材は、恐竜、車、動物の三つだったそうです。この三つは何度も採用されましたが、新たに考える必要もありました。「現代の子どもたちに届けるヒーローとしてふさわしいか」。新しい戦隊を考えるときに、白倉さんたちは頭を悩ませました。
歴代49作品の中には、レスキューや魔法、海賊、忍者、列車、昔話などさまざまなものが題材となった戦隊が誕生しました。中でも2018~19年放送の「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」は、相対する二つの戦隊が登場する異色作で、今も人気があります。
白倉さんは、二つあったと振り返ります。一つは2001年2月から放送された「百獣戦隊ガオレンジャー」です。俳優の玉山鉄二さんや、コーラスグループ「純烈」の酒井一圭さんが出演。それまではミニチュアを使った撮影が中心でしたが、CG(コンピューターグラフィックス)を大々的に取り入れました。動物や合体した大きなロボットをCGで描き、表現の幅が広がりました。
二つ目は2009年に登場した「侍戦隊シンケンジャー」です。俳優の松坂桃李さんらが出演した、侍が題材の戦隊です。この作品は、撮影方式の変更がありました。それまではフィルムで撮影した後に、映像を見ながら俳優が声を吹き込む「アフレコ」の方式でした。一方シンケンジャーからは、芝居と声を合わせたビデオ撮影になりました。シリーズは若手俳優の登竜門(出世のきっかけ)となっており、撮影方式の変更で、より自由に芝居ができるようになり、演技力も高まったそうです。
登場人物の関係性は、時代に合わせて変わってきました。例えば最初のゴレンジャーは、壊滅した軍事組織の生き残りで、軍隊のように役割分担のあるチームでした。一方、1980年代後半からは、戦隊に「みんな1等賞」のような横並び意識が強くなり、ヒーローたちが同級生や家族という作品が出てきました。
1990年代以降は、倒すべき敵が途中で味方になるなど、敵の描かれ方に変化がありました。当時、アメリカとソビエト連邦(今のロシアなど)を中心とした東西冷戦が終結した影響で、「鉄のカーテン(冷戦時代の各国の緊張状態を表す言葉)のような敵と味方をへだてる境界がなくなった」(白倉さん)といいます。
2000年代には、2011年の「海賊戦隊ゴーカイジャー」のように船長のレッドが一番強く、残りの4人は横一線の戦隊が登場しました。「海賊を題材にした大人気漫画などの影響です。現代にない身分差は物語性もあり、戦隊の描き方の幅も広がりました」
シリーズについて白倉さんは「変身前も含めて、かっこいい人、面白い人、いろんなヒーローが登場し、子どもたちに『いろんな人間がいるし、集まると大きな力を発揮するよね』『人間って面白いよね』といった人間の多様性を伝えてきたと思う」と話します。各地のご当地ヒーローや、この記事「知りたいんジャー」などにもつながり、「知らない人はいない、日本の文化になった」といいます。
一方で、日本のアニメとの差も感じてきました。「特撮の戦隊よりも多彩な表現を生み出している。『戦隊』という枠の中だけで表現するのではなく、アニメに負けないような、特撮の新しいヒーローを作っていかなければいけないと思った」と話します。
シリーズ終了後に始まる番組「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」は、「そのスタートライン。ここから大きな一歩を踏み出していかなければいけない」と白倉さん。特撮ヒーローの歴史はこれからも続きます。
(2026年1月28日毎日小学生新聞より)
◆スーパー戦隊シリーズ(放送開始年一覧)
| 1975年 | 秘密戦隊ゴレンジャー |
| 1977年 | ジャッカー電撃隊 |
| 1979年 | バトルフィーバーJ |
| 1980年 | 電子戦隊デンジマン |
| 1981年 | 太陽戦隊サンバルカン |
| 1982年 | 大戦隊ゴーグルファイブ |
| 1983年 | 科学戦隊ダイナマン |
| 1984年 | 超電子バイオマン |
| 1985年 | 電撃戦隊チェンジマン |
| 1986年 | 超新星フラッシュマン |
| 1987年 | 光戦隊マスクマン |
| 1988年 | 超獣戦隊ライブマン |
| 1989年 | 高速戦隊ターボレンジャー |
| 1990年 | 地球戦隊ファイブマン |
| 1991年 | 鳥人戦隊ジェットマン |
| 1992年 | 恐竜戦隊ジュウレンジャー |
| 1993年 | 五星戦隊ダイレンジャー |
| 1994年 | 忍者戦隊カクレンジャー |
| 1995年 | 超力戦隊オーレンジャー |
| 1996年 | 激走戦隊カーレンジャー |
| 1997年 | 電磁戦隊メガレンジャー |
| 1998年 | 星獣戦隊ギンガマン |
| 1999年 | 救急戦隊ゴーゴーファイブ |
| 2000年 | 未来戦隊タイムレンジャー |
| 2001年 | 百獣戦隊ガオレンジャー |
| 2002年 | 忍風戦隊ハリケンジャー |
| 2003年 | 爆竜戦隊アバレンジャー |
| 2004年 | 特捜戦隊デカレンジャー |
| 2005年 | 魔法戦隊マジレンジャー |
| 2006年 | 轟轟戦隊ボウケンジャー |
| 2007年 | 獣拳戦隊ゲキレンジャー |
| 2008年 | 炎神戦隊ゴーオンジャー |
| 2009年 | 侍戦隊シンケンジャー |
| 2010年 | 天装戦隊ゴセイジャー |
| 2011年 | 海賊戦隊ゴーカイジャー |
| 2012年 | 特命戦隊ゴーバスターズ |
| 2013年 | 獣電戦隊キョウリュウジャー |
| 2014年 | 烈車戦隊トッキュウジャー |
| 2015年 | 手裏剣戦隊ニンニンジャー |
| 2016年 | 動物戦隊ジュウオウジャー |
| 2017年 | 宇宙戦隊キュウレンジャー |
| 2018年 | 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー |
| 2019年 | 騎士竜戦隊リュウソウジャー |
| 2020年 | 魔進戦隊キラメイジャー |
| 2021年 | 機界戦隊ゼンカイジャー |
| 2022年 | 暴太郎戦隊ドンブラザーズ |
| 2023年 | 王様戦隊キングオージャー |
| 2024年 | 爆上戦隊ブンブンジャー |
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