寝る子は育つ睡眠学【月刊Newsがわかる1月号】

もうすぐ「デフリンピック」【ニュース知りたいんジャー】

今月こんげつ15にちから26にちまで、東京都内とうきょうとない福島県ふくしまけん静岡県しずおかけんの3都県とけんで、聴覚障害ちょうかくしょうがいのあるひとたちの国際こくさいスポーツ大会たいかい「デフリンピック」が日本にっぽんはじめて開催かいさいされます。デフリンピックについて、どんな大会たいかいなのかをりたいんジャーと調しらべてみました。

 デフリンピックとは?

「デフ(Deaf)」は英語えいごで「みみこえない」という意味いみで、こえないひと(ろうしゃ)や、こえにくいひとのための国際こくさいスポーツ大会たいかいです。スイスのローザンヌに事務局じむきょくがある国際こくさいろうしゃスポーツ委員会いいんかい主催しゅさいします。

 オリンピックなどとおなじように、夏季かき冬季とうき大会たいかいが、それぞれ4ねんごとにひらかれます。今回こんかい日本にっぽんひらかれる大会たいかい正式名称せいしきめいしょうは「だい25かい夏季かきデフリンピック競技大会きょうぎたいかい東京とうきょう2025」です。

 だいかい大会たいかいは1924ねんがつ、フランスのパリでひらかれました。そのときは「国際こくさいサイレント大会たいかい」として、9かこくの148にん選手せんしゅ出場しゅつじょうしました。女性じょせい選手せんしゅ1人ひとりでした。日本にっぽん選手団せんしゅだんはじめて参加さんかしたのは、1965ねんのアメリカ・ワシントンでの夏季かき大会たいかいでした。

 デフリンピックの名称めいしょうは、2001ねん国際こくさいオリンピック委員会いいんかい承認しょうにんしてから使つかわれています。ヨーロッパなどでひらかれることがおおく、アジアでは2009ねん台湾たいわんひらかれた夏季かき大会たいかいはじめてでした。

競技きょうぎはどうすすめるのかな

 競技きょうぎすうは、夏季かき陸上りくじょう水泳すいえい、サッカーなどの21競技きょうぎ冬季とうきは6競技きょうぎです。

 夏季かきには、デフリンピックならではの「オリエンテーリング」という競技きょうぎもあります。オリエンテーリングは、地図ちずとコンパス(方位ほうい磁石じしゃく)を活用かつようして、野山のやまなどに複数ふくすう設置せっちされた「コントロール」とばれるチェックポイントを順番じゅんばん通過つうかし、ゴールにくまでの「はやさ」をきそいます。

 かく競技きょうぎのルールは、みみこえるひと競技きょうぎとほとんど一緒いっしょです。デフ選手せんしゅは、審判しんぱん使つかふえおと指示しじ陸上競技りくじょうきょうぎのスタートをらせるピストルのおとなどがこえないため、ひかってスタートを合図あいずする装置そうちをはじめ、はた使つかうなどして、おとわりに、てわかるように情報じょうほうつたえています。

 選手せんしゅ競技会きょうぎかいじょうでの試合しあい練習れんしゅうときは、補聴器ほちょうきなどをはずすことがめられています。選手せんしゅかん公平性こうへいせいたもつためだそうです。

 パラリンピックとはべつなの?

 障害しょうがいのある選手せんしゅ国際こくさいスポーツ大会たいかいといえば、パラリンピックをおもかべるひともいるかもしれません。パラリンピックは、1960ねんにイタリアのローマでひらかれた大会たいかい最初さいしょとされています。デフリンピックのほうがふる歴史れきしがあります。

 デフリンピックを提唱ていしょうしたのは、自身じしん自転車競技じてんしゃきょうぎのデフ選手せんしゅだったフランスのウジェーヌ・ルーベンス・アルケさんです。アルケさんは、こえないひと社会的地位しゃかいてきちいひくく、手話しゅわ言語げんごとしてみとめられていなかった時代じだいに、こえないひとたち自身じしん運営うんえいする国際大会こくさいたいかいひらいて、社会しゃかいえようとしたそうです。

 一方いっぽう、1896ねんはじまった近代きんだいオリンピックは平和へいわ社会しゃかいづくりのため、パラリンピックは戦争せんそう負傷ふしょうしたひとのリハビリテーションにかそうという目的もくてきがありました。そういった経緯けいいもあり、パラリンピックとデフリンピックは、それぞれの大会たいかい独自性どくじせいたもちながら開催かいさいされています。

どもたちの投票とうひょうれて

 日本財団にっぽんざいだんパラスポーツサポートセンターによる調査ちょうさでは、「デフリンピックをっている、たりいたりしたことがある」とこたえたひとは、2021ねんは16.3%でした。

 今大会こんたいかいけた課題かだいひとつが、認知度にんちどたかめることでした。そこで、各地かくちでイベントや体験学習たいけんがくしゅうなどがひらかれました。2025ねん調査ちょうさでは、38.4%までがりました。大会たいかい運営うんえいする全日本ぜんにほんろうあ連盟れんめいは、きたみなみから2だいのキャラバンカーで全国ぜんこく巡回じゅんかい開幕前日かいまくぜんじつまでPRします。

 また、大会たいかいビジョンには「多様たよう視点してん大切たいせつにした大会たいかい運営うんえいをめざす」こともまれました。大会たいかいのエンブレムは、視覚しかく聴覚障害ちょうかくしょうがいのあるひとのための大学だいがく筑波技術大学つくばぎじゅつだいがく茨城県いばらきけん)の学生がくせいがデザインした最終候補さいしゅうこうほあんなかから、東京都内とうきょうとない中高生ちゅうこうせい投票とうひょうまりました。メダルのデザインも全国ぜんこくしょう中高校生ちゅうこうこうせい投票とうひょうめるなど、どもたちの意見いけんかされています。

デフリンピック東京大会のエンブレムを作成した多田伊吹さん。ろう文化のシンボルである手と、桜の花を題材に、競技を通じて聞こえる人とろう者が交わる輪が広がり、その先に花が咲く――という願いを一筆書きで表現しました=東京都内で2023年9月

デフリンピックをPRするキャラバンカーの到着を歓迎した人たち=神奈川県鎌倉市で10月28日

 みんな観戦かんせんしにきて

 10がつには東京とうきょう日本記者にほんきしゃクラブで、選手せんしゅらが記者きしゃ会見かいけんしました。サッカー男子だんし松元まつもと卓巳たくみ選手せんしゅは「責任せきにん覚悟かくごち、結果けっかにつながるように頑張がんばる」、空手からて女子じょし小倉おぐらりょう選手せんしゅは、ランプやはた使つかった競技きょうぎすすかたなどにれ「こえるひと観戦かんせんして、なに発見はっけんがあるとうれしい」と、それぞれ手話しゅわまじえてはなしました。二人ふたり日本選手団にっぽんせんしゅだん代表だいひょうして旗手きしゅつとめます。

 東京大会とうきょうたいかいには、70~80かこく地域ちいきやく3000にん選手せんしゅ参加さんかする見込みこみです。日本選手団にっぽんせんしゅだんやく400にんで、すべての競技きょうぎ選手せんしゅすのははじめてです。さくねんのパリ・オリンピック、パラリンピックとおな色合いろあいのユニホームをます。

 開会式かいかいしき閉会式へいかいしき射撃競技しゃげききょうぎをのぞいて、事前じぜんもうみなしで一般いっぱんひと観戦かんせんできます。混雑こんざつ状況じょうきょう大会たいかいホームページなどで確認かくにんできるそうです。

 かけたひとは、みみこえない選手せんしゅぶりではげますあたらしい応援おうえん方法ほうほう「サインエール」を使つかってみてください。一体感いったいかんすようですよ。

(2025ねん11がつ12にち毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

記者会見でデフリンピックを手話で示してポーズを取る、(左から)日本選手団の太田陽介団長、松元卓巳選手、小倉涼選手、全日本ろうあ連盟の石橋大吾理事長=東京都千代田区の日本記者クラブで10月16日

耳の聞こえない選手を手ぶりで励ます新しい応援の方法「サインエール」の一つ。写真は「行け」を意味するものです

雑誌のご購入ご希望の方は「ブックサービス」まで

上のバナーをクリックすると「ブックサービス」につながります。