2025年 重大ニュース【月刊ニュースがわかる12月号】

デジタル教科書 2030年度導入へ【ニュース知りたいんジャー】

デジタル教科書きょうかしょが2030ねんから正式せいしき導入どうにゅうされることになりました。中央ちゅうおう教育きょういく審議会しんぎかい文部科学大臣もんぶかがくだいじん意見いけんべる専門家せんもんかあつまり)のなかで、担当たんとう作業部会さぎょうぶかい導入どうにゅう了承りょうしょうしました。デジタル教科書きょうかしょって、どういうものなのでしょうか。

 デジタル教科書きょうかしょってどんなもの?

 いま学校がっこうでは1人ひとりだいのタブレット端末たんまつ配布はいふされています。学校がっこうによっては、この端末たんまつ使つかって教科きょうか勉強べんきょうしているところもあります。これも「デジタル教科書きょうかしょ」とばれていますが、かみ教科書きょうかしょとまったくおな内容ないようで、正式せいしき教科書きょうかしょではなく、かみわりに使つか教材きょうざいという位置いちづけになっています。

 これにたいし、2030ねんからはデジタル独自どくじ教科書きょうかしょ正式せいしき教科書きょうかしょみとめられます。動画どうが音声おんせい、QRコードなど、デジタルの特長とくちょうかした内容ないようとなります。

 たとえば、実験じっけん手順てじゅん動画どうが説明せつめいしたり、図形ずけいをマウスやゆびうごかしたり、教科書きょうかしょ何度なんどんだりしたりできるようになります。画面がめんんだ内容ないようを、ほか端末たんまつ共有きょうゆうすることもできます。

勉強べんきょうがしやすくなるの?

 えにくい、集中しゅうちゅうしにくい、ゆびかみをめくりにくい、日本語にほんごむずかしい――。こうしたさまざまな特性とくせいどもたちにとっても、デジタル教科書きょうかしょはとても便利べんりです。文字もじ拡大かくだいしたり、背景はいけいいろえたり、アニメーションを使つかったり、ふりがなをつけたりするなど、それぞれが必要ひつようとする機能きのう使つかえるので、先生せんせいもきめこまかな支援しえんができます。

 教科書きょうかしょ内容ないようにとどまらず、さまざまな教材きょうざいやソフトとわせ、学習がくしゅう発展はってんさせることもできます。まえ学年がくねん使つかった教科書きょうかしょっていた内容ないようあらためて調しらべるなど、自分じぶんなか知識ちしきをつなげていくこともできます。

デジタル教科書を使用して国語の授業を受ける児童ら。教室には大きな液晶画面が二つ設置されています=東京都小金井市の東京学芸大学付属小金井小学校で9月18日

 いいことばっかりなの?

 もちろんデメリットもあります。インターネットにつながりにくかったり、画面がめんがフリーズする(かたまる)など、通信つうしんやパソコン本体ほんたいのトラブルに対処たいしょするのは大変たいへんです。いえってかえるのはおもたいし、自宅じたく通信環境つうしんかんきょうによっては宿題しゅくだいができないこともあります。機能きのう使つかかたからなければ、勉強べんきょう以前いぜん問題もんだいです。てい学年がくねんならキーボード入力にゅうりょくむずかしいので、おとなどで操作そうさできるよう工夫くふうする必要ひつようがあります。

 また、おおきな図表ずひょうなが文章ぶんしょうなどは、かみ教科書きょうかしょのほうが全体像ぜんたいぞう把握はあくしやすいこともあります。視力しりょく姿勢しせいなど、健康けんこうわる影響えいきょうないか心配しんぱいするこえもあります。

つくひと先生せんせい大変たいへん

 教科書きょうかしょつくがわにとっても、デジタルはかみとはちが苦労くろうがあります。掲載けいさいできる分量ぶんりょう制限せいげんがなく、さまざまな機能きのうけられるので、いくらでも内容ないようめますが、そのぶんだけ手間てまもおかねもかかります。

 また、できあがった教科書きょうかしょ内容ないようただしいかどうかをたしかめる「検定けんてい」にも膨大ぼうだい作業さぎょう必要ひつようとなり、時間じかんがかかります。QRコードは便利べんりですけれども、検定けんていではリンクさき内容ないようまでたしかめる必要ひつようがあります。

 先生せんせいもパソコンにくわしいひとばかりではないので、授業じゅぎょうまえ先生せんせい研修けんしゅうける必要ひつようがあります。学校がっこうとしても、先生せんせい児童生徒じどうせいと1人ひとりずつちがうアカウント(個人こじん認証にんしょう情報じょうほう)を設定せってい管理かんりするのがおおきな負担ふたんになっています。

自分じぶんまなかたは?

 デジタル教科書きょうかしょ導入どうにゅうするときには、(1)かみだけ、(2)完全かんぜんにデジタル、(3)かみとデジタルをわせる「ハイブリッド」――の3とおりのやりかた想定そうていし、自治体じちたい教育委員会きょういくいいんかいえらぶことになっています。市町村しちょうそん学校がっこうによってやりかたことなるということです。

 学校教育がっこうきょういくでのデジタル活用かつようくわしい山梨大学やまなしだいがく准教授じゅんきょうじゅ三井みつい一希かずきさんは「教育きょういくにデジタルがはいることで、よりまなびやすくなる可能性かのうせいがあります」とデジタル教科書きょうかしょ導入どうにゅう期待きたいしています。そのうえで「かみをすべてデジタルにえるわけではありません。

 しかし、社会しゃかいのデジタルすすんでいます。どもたちには、かみとデジタルのどちらからもただしく情報じょうほうれるちからけてほしいのです。そのなかで、自分じぶん特性とくせいづき、自分じぶんったまなかたつけることが大切たいせつです」とはなしています。

(2025ねん10がつ15にち毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

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