縄文人はスーパースター!?【月刊Newsがわかる11月号】

8年近く続いた「黒潮大蛇行」 異例の長期、ようやく終わり?【ニュース知りたいんジャー】

日本列島にほんれっとうの南岸なんがんを流ながれる世界最大級せかいさいだいきゅうの海流かいりゅう「黒潮くろしお」。2017年以降ねんいこう、大おおきく蛇行だこうする動うごきを見みせていましたが、気象庁きしょうちょうは5月がつ、この動うごきに終息しゅうそく(終おわること)の兆きざしがあると発表はっぴょうしました。大蛇行だいだこうは過去かこにもたびたび起おきていますが、今回こんかいは8年弱ねんじゃくと、かつてないほど長ながく続つづきました。なぜこれほど長期ちょうきに及およんだのでしょうか。またこの間かん、私わたしたちの生活せいかつにどのような影響えいきょうを及およぼしていたのでしょうか。

 そもそも「黒潮大蛇行くろしおだいだこう」って何なに?

 日本列島にほんれっとうの南岸なんがんに沿そって西にしから東ひがしへ流ながれる黒潮くろしおが、本来ほんらいの通とおり道みちから大おおきく外はずれる現象げんしょうです。

 黒潮くろしおは本来ほんらい、東ひがしシナ海かいから九州きゅうしゅう→紀伊半島きいはんとう→房総半島沖ぼうそうはんとうおきと、東ひがしへ抜ぬけていきます。この流ながれが、紀伊半島きいはんとうから東海地方とうかいちほうの南方沖なんぽうおきで、ヘビのようにぐにゃっと大おおきく曲まがることがあります。これが黒潮大蛇行くろしおだいだこうです。

 起おこる原因げんいんは、本州ほんしゅうと黒潮くろしおの間あいだに冷つめたい渦うずが停滞ていたいすることです。冷つめたい渦うずは反時計回はんとけいまわりで西向にしむきに進すすむ性質せいしつがあります。このため、東ひがしへ流ながれる黒潮くろしおの強つよさと競せり合あうと1か所しょにとどまるのです。

 大蛇行だいだこうが起おきる時ときは九州南東沖きゅうしゅうなんとうおきでこの小ちいさな渦うずが発生はっせいし、黒潮くろしおに流ながされながら徐々じょじょに拡大かくだいすることが知しられています。地形的ちけいてきな特徴とくちょうが関係かんけいしていて、世界せかいの海流かいりゅうでこうした現象げんしょうが起おきるのは黒潮くろしおだけだそうです。

黒潮が流れる四国沿岸の太平洋=高知県土佐清水市の足摺岬で2023年12月
黒潮が流れる四国沿岸の太平洋=高知県土佐清水市の足摺岬で2023年12月
 よく起おこるの?

 気象庁きしょうちょうが観測かんそくを始はじめた1965年以降ねんいこう6回発生かいはっせいしていて、そう珍めずらしいことではありません。江戸時代末期えどじだいまっきにやってきたアメリカの黒船くろふねで有名ゆうめいなペリーの観測記録かんそくきろくから、1854年ねんにも大蛇行だいだこうが起おきていたとする説せつもあります。

 今回こんかいの発生はっせいは12年ねんぶりで、7年ねん9か月げつ(4月時点がつじてん)続つづきました。記録きろくが残のこる大蛇行だいだこうはいずれも1年以上ねんいじょう続つづいていますが、これまで最長さいちょうだった4年ねん8か月げつ(1975年ねん8月がつ~80年ねん3月がつに発生はっせい)を更新こうしんし、最長さいちょうとなりました。

 長ながく続つづくのは、黒潮くろしおの流ながれが弱よわいことが原因げんいんです。黒潮くろしおには、東京とうきょうドーム40杯分ぱいぶんに相当そうとうする最大約さいだいやく5000万立方まんりっぽうメートルもの海水かいすいを1秒間びょうかんに約やく2メートル運はこぶ、とてつもない力ちからがあります。ただ、流ながれが強つよければ停滞ていたいする渦うずを東ひがしへ押おし流ながすことができますが、90年代ねんだいから黒潮くろしおの流量りゅうりょうが減へりつつあります。今回こんかいの大蛇行発生後だいだこうはっせいごの2021年冬ねんふゆには毎秒まいびょう2040万立方まんりっぽうメートル(東経とうけい137度地点どちてん)まで減へりました。過去かこの大蛇行だいだこうの期間きかんと照てらし合あわせると、流量りゅうりょうが多おおい時ときは短期間たんきかんで終息しゅうそくする傾向けいこうがあります。

 私わたしたちの暮くらしにはどんな影響えいきょうが出でているの?

 黒潮くろしおは赤道付近せきどうふきんから海洋かいようの熱ねつを日本近海にほんきんかいへ運はこびます。大蛇行だいだこうが起おきると、黒潮くろしおが本州ほんしゅうから離はなれるため近海きんかいの水温すいおんは低ひくくなると考かんがえられていました。しかし、大蛇行だいだこうはむしろ、東海地方とうかいちほうや関東地方かんとうちほうに猛暑もうしょや豪雨ごううをもたらす要因よういんとなっていたという指摘してきもあります。東北大学とうほくだいがく(宮城県みやぎけん)の研究けんきゅうチームによると、南みなみへ蛇行だこうした後あとに東海とうかいから関東沿岸かんとうえんがんへ流ながれ込こんだ黒潮くろしおが、その海域かいいきの水温すいおんを上昇じょうしょうさせ、それにより生しょうじた大量たいりょうの水蒸気すいじょうきによって夏なつの雨量うりょうを増ふやしたり気温きおんを上昇じょうしょうさせたりするそうです。

 黒潮くろしおは、日本にっぽんの北方ほっぽうから流ながれる海流かいりゅうの親潮おやしおに比くらべると栄養分えいようぶんが少すくないのですが、海うみの生いき物ものにも影響えいきょうします。例たとえば、暖あたたかい海域かいいきを好このむ魚さかなのカンパチやクロマグロは、大蛇行だいだこうによって海水温かいすいおんの上あがった関東かんとうや東海沿岸とうかいえんがんでよく取とれる傾向けいこうになります。

 一方いっぽう、海藻かいそうなどは広ひろい範囲はんいで育そだちにくくなりました。2018年ねんには、紀伊半島西岸きいはんとうせいがんでサンゴの大量死たいりょうしが確認かくにんされました。冬ふゆに海水温かいすいおんが下さがったことが背景はいけいにあり、大蛇行だいだこうを原因げんいんの一ひとつとする見方みかたもあります。

マグロの競りの様子。黒潮大蛇行は漁業にも影響してきました=東京都江東区の豊洲市場で1月
マグロの競りの様子。黒潮大蛇行は漁業にも影響してきました=東京都江東区の豊洲市場で1月
 このまま大蛇行だいだこうは消きえてなくなるの?

 6月がつの海流図かいりゅうずを見みると、黒潮くろしおの流ながれが弱よわいまま、渦うずがちぎれて南みなみに離はなれています。実じつは2020年ねん10月がつにも一度渦いちどうずが離はなれましたが、その時ときはすぐに大蛇行だいだこうが復活ふっかつしました。

 今回こんかいは6月末がつまつに、西にしへ流ながれた渦うずが九州沖きゅうしゅうおきで再ふたたび黒潮くろしおに取とり込こまれましたが、大蛇行だいだこうには発達はったつしていません。東海沖とうかいおきの蛇行だこうも東ひがしへ流ながされつつあり、終息しゅうそくに向むかっているようです。

 気象庁きしょうちょうは8月下旬がつげじゅんごろに、黒潮大蛇行くろしおだいだこうの終息しゅうそくについて最終的さいしゅうてきな判断はんだんをする見通みとおしです。

 将来的しょうらいてきな見通みとおしは

 黒潮くろしおに詳くわしい海洋研究開発機構かいようけんきゅうかいはつきこう(JAMSTECジャムステック)の美山透みやまとおる・主任研究員しゅにんけんきゅういんは「流量りゅうりょうが少すくない傾向けいこうが続つづく場合ばあい、大蛇行だいだこうが起おきやすくなったり、長期化ちょうきかしやすくなったりする可能性かのうせいがあります」と指摘してきしています。

 流量りゅうりょうが減少傾向げんしょうけいこうにある原因げんいんは、よく分わかっていません。ただ、黒潮くろしおの推進力すいしんりょくとなる偏西風へんせいふう(上空じょうくうで西にしから東ひがしへ常つねに吹ふく風かぜ)の蛇行だこうが目立めだったり、世界的せかいてきに海水温かいすいおんが上昇じょうしょうしたりしていて、海うみをとりまく状況じょうきょうの変化へんかが影響えいきょうしていることも考かんがえられます。

 美山(みやま)さんは「今(いま)までの海流(かいりゅう)の常識(じょうしき)が変(か)わってきている可能性(かのうせい)があります。海(うみ)の資源(しげん)をどう守(まも)っていくのか、長期的(ちょうきてき)に考(かんが)えなければなりません」と話(はな)しています。

(2025年ねん8月がつ6日むいか 毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

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