縄文人はスーパースター!?【月刊Newsがわかる11月号】

ハザードマップでリスクや災害に備える【ニュース知りたいんジャー】

大雨《おおあめ》や台風《たいふう》、土砂災害《どしゃさいがい》など、日本《にっぽん》の各地《かくち》でいろいろな自然災害《しぜんさいがい》が起《お》きています。皆《みな》さんが住《す》んでいる地域《ちいき》には、それぞれの災害《さいがい》で、どのような被害《ひがい》が起《お》きるリスク(危険性《きけんせい》)があるのでしょうか? そのために役立《やくだ》つのが「ハザードマップ」です。被害《ひがい》の想定《そうてい》を知《し》り、備《そな》えるためにできることを、知《し》りたいんジャーと一緒《いっしょ》に調《しら》べてみました。

 ハザードマップって?

 梅雨《つゆ》の時期《じき》から秋《あき》にかけて、日本列島《にほんれっとう》では集中豪雨《しゅうちゅうごうう》や台風《たいふう》が続《つづ》きます。大雨《おおあめ》で河川《かせん》の水《みず》の量《りょう》が急激《きゅうげき》に増《ふ》え、堤防《ていぼう》を越《こ》えてあふれ出《で》る「洪水《こうずい》」や、台風《たいふう》や強《つよ》い低気圧《ていきあつ》の接近《せっきん》で海面《かいめん》が上昇《じょうしょう》し、海水《かいすい》が堤防《ていぼう》などを越《こ》えて浸水《しんすい》する「高潮《たかしお》」の被害《ひがい》が起《お》きます。雨《あめ》が続《つづ》き、山《やま》やがけの地盤《じばん》が緩《ゆる》んで、がけ崩《くず》れや土砂災害《どしゃさいがい》が発生《はっせい》することもあります。

 こうした自然災害《しぜんさいがい》は、雨《あめ》が降《ふ》り続《つづ》くなどの気象《きしょう》条件《じょうけん》に加《くわ》えて、その土地《とち》の成《な》り立《た》ちによる性質《せいしつ》や地形《ちけい》など、さまざまな要素《ようそ》が重《かさ》なって起《お》きます。そこで住民《じゅうみん》に、予測《よそく》される被害《ひがい》を知《し》って被害《ひがい》を軽《かる》くしたり防災《ぼうさい》に役立《やくだ》てたりしてもらうために作《つく》られたものが「ハザードマップ」です。被害《ひがい》予測《よそく》図《ず》とも呼《よ》ばれます。

 ハザードマップは洪水《こうずい》や土砂災害《どしゃさいがい》、地震《じしん》など災害《さいがい》ごとに作《つく》られています。災害時《さいがいじ》に危険《きけん》な場所《ばしょ》をはじめ、避難《ひなん》する道順《みちじゅん》や避難場所《ひなんばしょ》を地図《ちず》上《じょう》で示《しめ》しています。市区町村《しくちょうそん》が作成《さくせい》しており、冊子《さっし》やホームページで見《み》ることができます。

台風18号の影響による大雨で鬼怒川(写真の上から下へ向かって流れる川)の堤防が決壊して水があふれ、冠水した茨城県常総市=2015年9月10日、毎日新聞社ヘリから

 どう見《み》ればいいの?

 水害《すいがい》対策《たいさく》に力《ちから》を入《い》れる東京都江戸川区《とうきょうとえどがわく》の例《れい》を記者《きしゃ》が取材《しゅざい》しました。江戸川区《えどがわく》は、海《うみ》の満潮《まんちょう》時《じ》の水面《すいめん》よりも地面《じめん》の方《ほう》が低《ひく》い「海抜《かいばつ》ゼロメートル地帯《ちたい》」が区域《くいき》の7割《わり》を占《し》めます。荒川《あらかわ》と江戸川《えどがわ》が流《なが》れ、上流《じょうりゅう》で降《ふ》った雨《あめ》が多《おお》く集《あつ》まります。

 区《く》の水害《すいがい》ハザードマップは、洪水《こうずい》と高潮《たかしお》による浸水《しんすい》被害《ひがい》を合《あ》わせて示《しめ》しています。深《ふか》さが0.5メートル未満《みまん》の「床下《ゆかした》浸水《しんすい》」は卵《たまご》の黄身《きみ》の色《いろ》、▽3メートル未満《みまん》で建物《たてもの》の「1階《かい》浸水《しんすい》」は薄《うす》いオレンジ色《いろ》、▽5メートル未満《みまん》の「2階《かい》浸水《しんすい》」はピンク、▽10メートル未満《みまん》の「3~4階《かい》浸水《しんすい》」は濃《こ》いピンク――と色分《いろわ》けしています。

 区役所《くやくしょ》のある場所《ばしょ》はどうなるのでしょうか? マップを見《み》ると、5メートル未満《みまん》を示《しめ》すピンクです。防災《ぼうさい》危機管理《ききかんり》課《か》の功刀《くぬぎ》彰史《あきふみ》さんは「最大《さいだい》被害《ひがい》の場合《ばあい》2階《かい》まで浸水《しんすい》し、2週間《しゅうかん》以上《いじょう》、水《みず》がひきません。区内《くない》のほとんどが水没《すいぼつ》します」と厳《きび》しい表情《ひょうじょう》で言《い》いました。近隣《きんりん》の5区《く》で人口《じんこう》の9割《わり》以上《いじょう》にあたる250万人《まんにん》が被災《ひさい》する可能性《かのうせい》があるそうです。

東京都江戸川区の水害ハザードマップについて説明する区防災危機管理課の職員=江戸川区役所で6月23日

 どこに避難《ひなん》すればいいの?

 各地《かくち》の被害想定《ひがいそうてい》を知《し》るには、市区町村《しくちょうそん》が作《つく》るハザードマップのほか、国土交通省《こくどこうつうしょう》の「重《かさ》ねるハザードマップ」も活用《かつよう》できます。これは、さまざまな種類《しゅるい》の災害《さいがい》の被害想定《ひがいそうてい》を、各地《かくち》の地図《ちず》上《じょう》で重《かさ》ねて見《み》ることができるものです。

 家《いえ》や学校《がっこう》の被害想定《ひがいそうてい》が分《わ》かった後《あと》は、避難所《ひなんじょ》を確認《かくにん》します。どの道《みち》を通《とお》って避難《ひなん》するのか、できれば二《ふた》つ以上《いじょう》のルートを確保《かくほ》しましょう。水害《すいがい》では、周辺《しゅうへん》よりも低《ひく》くなっている「アンダーパス」の道路《どうろ》を通《とお》ることは避《さ》けましょう。

 非常持《ひじょうも》ち出《だ》し袋《ぶくろ》も準備《じゅんび》しましょう。避難《ひなん》するタイミングも、事前《じぜん》に決《き》めておくといいです。高齢者《こうれいしゃ》など行動《こうどう》に時間《じかん》がかかる人《ひと》がいる家庭《かてい》は、早《はや》めに避難《ひなん》するのが望《のぞ》ましいです。

 大雨《おおあめ》や台風《たいふう》の予報《よほう》が出《で》たら、気象情報《きしょうじょうほう》を入手《にゅうしゅ》しましょう。気象庁《きしょうちょう》や自治体《じちたい》のサイトをはじめ、ニュースやラジオで確認《かくにん》できます。防災《ぼうさい》行政《ぎょうせい》無線《むせん》にも注意《ちゅうい》しましょう。

 「浸水《しんすい》しない場所《ばしょ》へ、大雨《おおあめ》になる前《まえ》に避難《ひなん》する」。それが水害《すいがい》対応《たいおう》の大《だい》原則《げんそく》です。もし、急《きゅう》な大雨《おおあめ》などで避難所《ひなんじょ》への移動《いどう》が難《むずか》しい場合《ばあい》には、より高《たか》いところへ行《い》く「垂直《すいちょく》避難《ひなん》」をして、できるだけ身《み》の安全《あんぜん》を確保《かくほ》します。

 みんなが知《し》ることができるように

 地域《ちいき》で暮《く》らす誰《だれ》にでも、必要《ひつよう》な情報《じょうほう》が届《とど》くように、努力《どりょく》している自治体《じちたい》もあります。

 日本《にっぽん》で暮《く》らす外国《がいこく》にルーツのある人《ひと》も増《ふ》え、総《そう》人口《じんこう》の約《やく》3%にあたります。外国人《がいこくじん》が多《おお》い自治体《じちたい》では、英語《えいご》や中国語《ちゅうごくご》など複数《ふくすう》の言語《げんご》でハザードマップを作成《さくせい》するところもあります。

 東京都大田区《とうきょうとおおたく》は、難《むずか》しいことばを言《い》い換《か》えたり漢字《かんじ》にふりがなをつけたりした「やさしい日本語《にほんご》」によるマップも作《つく》っています。

 ハザードマップは、説明《せつめい》は文章《ぶんしょう》で書《か》かれ、被害想定《ひがいそうてい》は色《いろ》で分《わ》けて示《しめ》され、図《ず》も多《おお》いです。このため視覚障害者《しかくしょうがいしゃ》が読《よ》んだり、見《み》たりするのは難《むずか》しいです。そこで、以下《いか》のような試《こころ》みがなされています。

 ▽避難場所《ひなんばしょ》などを点字《てんじ》に訳《やく》す、▽アプリで二次元《にじげん》コードを読《よ》み取《と》ると、文字《もじ》で書《か》かれた内容《ないよう》を読《よ》み上《あ》げてくれる「音声《おんせい》コード」を各《かく》ページにつける、▽触《さわ》って分《わ》かる立体《りったい》的《てき》な地図《ちず》を作《つく》る。手話《しゅわ》の動画《どうが》サイトにアクセスできるQRコードをつけたところもあります。これらは、まだごく一部《いちぶ》の自治体《じちたい》での取《と》り組《く》みですが、ぜひ広《ひろ》がってほしいです。

 地域《ちいき》にあるヒント

 過去《かこ》に起《お》きた災害《さいがい》を知《し》るヒントが地域《ちいき》にある場合《ばあい》があります。「自然災害《しぜんさいがい》伝承《でんしょう》碑《ひ》」と呼《よ》ばれる石碑《せきひ》などもその一《ひと》つです。

 例《たと》えば、東京都江東区木場《とうきょうとこうとうくきば》には、都《と》の有形文化財《ゆうけいぶんかざい》にも指定《してい》されている「波除《なみよけ》碑《ひ》」があります。資料《しりょう》などによると、江戸時代《えどじだい》後期《こうき》にあった大雨《おおあめ》と高潮《たかしお》による水害《すいがい》で、あたり一帯《いったい》の家《いえ》が流《なが》され、多《おお》くの死者《ししゃ》が出《で》たそうです。

 また、各地《かくち》の地名《ちめい》には、地形《ちけい》の特徴《とくちょう》を捉《とら》えて受《う》け継《つ》がれてきたものもあります。例《たと》えば、倉《くら》や暗《くら》という字《じ》が含《ふく》まれる地名《ちめい》は、崖《がけ》や崩壊《ほうかい》地《ち》を示《しめ》している場合《ばあい》もあり、読《よ》み方《かた》が同《おな》じ別《べつ》の漢字《かんじ》が使《つか》われていることもあるそうです。

 地域《ちいき》の防災《ぼうさい》にくわしい国立研究開発法人《こくりつけんきゅうかいはつほうじん》・防災科学技術研究所《ぼうさいかがくぎじゅつけんきゅうしょ》(茨城県《いばらきけん》つくば市《し》)の元《もと》客員研究員《きゃくいんけんきゅういん》、花崎《はなざき》哲司《さとし》さんは、こう話《はな》します。「『蛇《へび》』や『竜《りゅう》』といった漢字《かんじ》が入《はい》った地名《ちめい》には、過去《かこ》に水害《すいがい》や土砂崩《どしゃくず》れがあった場合《ばあい》があります。市町村合併《しちょうそんがっぺい》などで変《か》わっても、駅名《えきめい》などで残《のこ》っているところもあります。地域《ちいき》の特徴《とくちょう》が分《わ》かるかもしれませんよ」

(2025年ねん7月がつ9日ここのか 毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

江戸時代後期の水害を伝える「波除碑」=東京都江東区木場で6月17日

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