ニュースによく登場する国際連合(国連)は、世界中の争いごとをなくし人々の安全で幸福な暮らしを守る「平和の番人」です。今年秋、創設から80年を迎える国連の成り立ちや活動について知りましょう。(「Newsがわかる2025年4月号」より)
今、世界の平和を脅かしている危機は、ロシアによるウクライナ侵攻と、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦い(今年1月から停戦中)です。国連は開戦当初から関係国に一刻も早く戦闘をやめるように働きかけ、戦渦に巻き込まれた人たちへの人道支援(人の命や生活を守り、苦しみを防いだり軽くしたりする手助けをすること)を関係機関と共に続けています。
国連は1945年10月24日に発足し、アメリカ・ニューヨークに本部があります。2度の世界大戦をゆるしてしまったことへの反省から、将来の戦争を防ぎ、人間が人間らしく平等に生きていくために世界各国が話し合い、経済や社会を共に発展させていく組織として51カ国が加盟して生まれました。
国連には現在、193カ国が加盟しています。主な機関は総会、安全保障理事会(安保理)、事務局、国際司法裁判所、経済社会理事会、信託統治理事会――の六つです。
世界の平和などについて話し合う総会では国の大小に関わらず全加盟国に1票の投票権があり、国連としての考え方や活動などを多数決で決めます。
専門機関は経済や文化、教育などの分野で地球規模の課題に取り組む組織で15あります。さらに、総会が設立した機関や多くの関連機関が、国連と連携して国際協力を進める具体的な活動を行っています。

アメリカ・ニューヨークの国連本部ビル=2024年2月、Jakub Porzycki/NurPhoto/共同通信イメージズ
国連の専門機関の一つ、世界保健機関(WHO)は国際的な保健活動の指示や調整を行っています。
2019年末に初めて確認された新型コロナウイルス感染症の世界的大流行では、感染拡大を防ぐために各国が取るべき行動を示し、感染症に関する正確な情報や検査キットなどの必要な物資を世界の医療従事者に届け、感染拡大防止をリードしました。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言終了を発表したテドロスWHO事務局長=スイス・ジュネーブで2023年5月、中継映像から・共同
1950年に設立された国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は難民(※)を保護して生活を支援し、自分の国へ帰ったり別の国に住んだりするための援助を行っています。
同事務所によると、2024年5月時点で故郷から避難を余儀なくされた人が過去最多の1億2000万人に達しました。
※人種や宗教、政治的な意見などが違うために自分の国でひどい目にあったり、紛争などで家を追われたりして外国に逃れた人
◆国際司法裁判所
国家間の争いを解決するため、安保理と総会の選挙で選ばれた15人の裁判官が国際法に従って裁判を行う機関。
◆経済社会理事会
世界の経済や社会問題などについて議論し、国連の活動を決める機関。54の理事国からなり、任期は3年。
◆事務局
公平、中立な立場で国連の運営や事務を行う機関で職員数は約3万7000人。現在の最高責任者(任期5年)はポルトガル出身で2期目のグテレス事務総長。事務総長は安保理の推薦を受け、総会が任命する。
◆総会
国連の審議機関で、加盟国が平和や安全保障、予算などについて議論する場。
◆安全保障理事会
15の理事国が世界の平和と安全について話し合う機関。平和が脅かされた場合に招集される。
◆信託統治理事会
かつての植民地などで自治が行われるように監督する機関。現在は対象地域がないため活動を休止している。
◆その他の関連機関
世界保健機関(WHO)
国連教育科学文化機関(UNESCO)
国際通貨基金(IMF)
国際原子力機関(IAEA)
世界貿易機関(WTO)
国際刑事裁判所(ICC)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
国連児童基金(UNICEF)
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)など
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