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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

「水源かん養」ってどんな役割?  森を学ぼう!

国土の約7割が森や林におおわれている日本は、世界有数の森林大国です。近年、深刻な問題となっている地球温暖化の対策として、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の働きは重視されています。他にも生活に密接した多くの役割を果たす森のことを、東京大学大学院教授の香坂玲さんに教えてもらいましょう!(「Newsがわかる2023年8月号」より)

そもそも森林ってなあに?

 日本の森林に関する基本的なことを定める「森林法」で定義されている森林とは、「土地とまとまって木が生えている場所」です。具体的な樹木の数や土地の面積などの規定があるわけではなく、“土地”と“その上にある植生”の二つがポイントです。

 現在、国土の66%が森林です。もともとはカシやシイ、ブナなどの広葉樹の「天然林」が多かったのですが、今は戦後の復興などで木材の需要が急増して植えたスギやヒノキといった針葉樹の「人工林」が41%もあります。人が手を加えた森の面積が意外と広いのです。他に人工林ではなく、まきを取りに行ったり、キノコを生産したりする里山があります。

屋久島の森の主、縄文杉。その樹齢は2000~7200年といわれる

針葉樹と広葉樹の違い 針葉樹は葉が針のように細い形をしていて、幹がまっすぐ高く伸びるスギやヒノキなど。一方、広葉樹は葉が広い形で、幹が枝分かれしたり曲がったりするカシやシイ、ブナなど。

 私たちの生活に欠かせない森の働きといえば、「水源かん養」機能でしょう。水源かん養機能とは、森のふかふかな土が、降ってきた雨をゆっくり吸収して地下水として蓄える、その水をろ過してきれいにすることなどです。また、大雨が降っても、じんわりしみ込み、少しずつ流れ出るので、河川の急な増水や洪水も防いでいます。

 他にも、土砂崩れを防ぐ、木材や食材の生産、レクリエーションの場の提供、生物多様性の保全、地球温暖化の防止といった働きがあるのです。

森は、CO2の吸収のほか、水を蓄えてきれいにする「水源かん養」、土砂崩れの防止、木材の生産、キノコや山菜などの供給、レクリエーションの場の提供といった生活に密接したさまざまな役割を果たしている。こうした森の働きを「公益的機能」という

森と海のつながり  森など陸地に降った雨は、土にゆっくりしみ込んで地下水となり、川となって海へと流れ込む。そして、海水が蒸発して上空で雲になって雨を降らして……と絶えず循環しながらつながっている。

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