【ニュースがわかる2024年11月号】巻頭特集は世界が注目! アメリカ大統領選

氷は何度になったら凍るの? 【疑問氷解】

Q 氷は何度になったら凍るの? (岩手県洋野町、小6)

実は難しい疑問です

 A 「そんなの0℃に決まってるよ」。いえいえ、簡単ではありません。その疑問には、高度な二つの問題が隠されています。

■理科の問題……0℃以下でも凍らないことも

 一つ目の問題。本当に0℃で水は凍るのか。

 水が凍るということは、液体として自由に動きまわっていた水の分子が、結びついて動かなくなり固体になることです。運動場を走りまわっていたみんなが整列する様子に似ています。「前へ―ならえ」で整列する時、基準になる児童が手を挙げるように、氷になる時も、小さな氷の結晶(氷核)ができて、そこからつぎつぎと氷に変化します。

 ところが、ゆっくり冷やすとマイナス10℃以下でも凍らない場合があります。氷核ができるきっかけがないまま冷えていくからです。「過冷却」といいます。揺らしてきっかけを与えると一瞬で氷に変わります。

■考え方の問題…0℃とは?

 もう一つは、そもそも0℃とは何かという問題です。

 「℃」は、18世紀のスウェーデンの科学者、セルシウスが考えました。セルシウス度、略してセ氏とか摂氏と呼ばれています。※

 セルシウスは、温度を数字に表せないかと考えました。そして、1気圧(地表付近の気圧)で水が凍る温度を「0℃」、沸騰する温度を「100℃」と決めました。0℃はこうして決まりました。

 「水が凍る温度は? 0℃です」←→「では0℃とは? 水が凍る温度です」……質問と答えがぐるぐる回ります。「自同律」とか「同一原理」の問題と言って、答えがないのが答えになります。

 だから答えることはとても難しいのです。今回の「疑問氷解」は、氷が解けるようには解けなかったね。【毎日小学生新聞編集部】

 

※アメリカなどでは、セルシウス度ではなく、ファーレンハイト度(カ氏、華氏)が一般的です。また、今では、より正確なケルビン度を基準にして0℃を厳密に決めています。高校で習います。

               (「疑問氷解 Vol.9(毎日小学生新聞)」より)