科学コミュニケーターの本田隆行さんと相棒のボットンが、日常のあちこちに潜む科学を探っていきます。今回はいったい何に注意すればいいの?「巨大地震注意」をナゾ解き!(「Newsがわかる2024年11月号」より)

きっかけになったのは、2024年8月8日夕方に宮崎県の沖で起きた地震だね
そうそう! こうして巨大地震が起こった時を想定した“素振り”を繰り返すことで、みんなが命を守れるように備えられるといいよね
うん。その日の夜に「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたんだ
とらふ? それって、何なの?
細長い溝のような海底地形のことだよ。中でも南海トラフっていうのは地球表面をおおうプレートがぶつかり合う境目にある。深さが4000メートルほどもある、でっかい溝なんだ
へー! ……で、そのトラフに何があったの?
この南海トラフの歴史をさかのぼると、実は100~150年ごとに巨大地震を起こしている。宮崎沖の地震が起きた場所は、巨大地震の原因になる場所に重なっていたんだよ
えええ、そうだったの!?
うん。気象庁がデータを検討した結果、南海トラフが原因になる巨大地震が普段より起こりやすくなっているぞっていうことで出されたのが、あの「注意」だったんだね


全国高校野球の試合前に阪神甲子園球場の電光掲示板に表示された南海トラフ「巨大地震注意」情報=兵庫県西宮市で8月9日
なるほど〜! ……で、普段より起こりやすいって、どういうことなの?
今回の発表でみんなが気になったのが、それだよね
そもそもさあ、巨大地震が繰り返すタイミングを考えたら、注意情報に関係なくいつ起こってもおかしくないんじゃない?
その通り。ただ今回は、もともと気にかけていたエリアの中で、もしかすると巨大地震のきっかけになるかもしれない地震が起こった。だからこそ、多くの人にいつも以上に気をつけて生活をしてもらうため、気象庁は情報を出したんだよ
きっかけになるかもしれない……かあ。でも、もっとはっきり知らせてほしいなあ
わりばしをじわーっと曲げると、どこかでパキッと音が鳴り始める。でも音の直後に折れるのか、さらに曲がり続けるかの正確な予測はできない。地震も、起こりそうなのは事前に言えても、いつ起こるかを言うのは、今の科学技術では難しいんだ
そうか、だから事前に「起こるかもしれないから気をつけて」と言うしかないのか
この臨時情報は2017年から運用が始まった仕組みで、今回初めて発表されたんだ。だから情報の伝え方も、聞いた側の受け取り方も、全てが手探りだったんだよね
最初だからこそ、いろんな課題も見えたってことかあ。自分の周りでも備えがぜんぜんできていないところがたくさん見つかったなあ
そうそう! こうして巨大地震が起こった時を想定した“素振り”を繰り返すことで、みんなが命を守れるように備えられるといいよね
うん! さーて、ぼくはまず、充電器をアチコチ用意するところからだな……

イラスト:こばやし あさみ
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