科学コミュニケーターの本田隆行さんと相棒のボットンが、日常のあちこちに潜む科学を探っていきます。今回はサッカーW杯の審判を支えるテクノロジーをナゾ解き!(「Newsがわかる2023年5月号」より)

テレビでスロー映像が何回も流れたけど、本当に際どかったよね。どうすればしっかり判定できるようになると思う?
そりゃ、カメラをどんどん増やせばいい!
確かに「見る“目”を増やす」のも一案だ。でも実は、サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で使われたVARシステムは、「ホークアイ」と「コネクテッドボール」という技術を組み合わせているんだって
なになに、その必殺技みたいなやつは!
ホークアイは、W杯では2018年のロシア大会から導入されている技術。簡単にいえば「超すごい映像判定システム」だよ
超すごい、ってどのくらいすごいの?
スタジアムを囲むように設置した十数台の高性能カメラの映像を瞬時にコンピューターで解析するんだ。ボールや選手、ゴールなどを見続けるカメラの映像を解析することで、ゴール判定やオフサイド、ファウルなどのチェックを支援するよ

神宮球場に設置された「ホークアイ」のカメラ=東京・神宮球場で2021年6月5日
すごい、油断もすきもあったもんじゃないね。もう一つの技術は?
コネクテッドボールは、簡単にいえば「センサー入りのハイテクボール」。ボール内部に設置された豆粒大のセンサーチップで、ボールの動きや位置を常に計測できるようになっている。カタール大会で初めて採用された技術なんだって!

サッカーW杯カタール大会の公式試合球=アディダス提供
目にも留まらぬ早業のスポーツといえば、何があるかなあ?
えーっと……あ、テニスのサーブ!
確かに! テニスの国際試合でもボールのイン・アウト判定にホークアイが導入されているよ。他に陸上競技のトラック種目だと、フライングやゴールの判定を1000分の1秒単位でデジタル計測してるんだ
そりゃ、とても人間の感覚では測れないや
フェンシングでも電気審判機を用いているし、相撲だって「物言い」がつけば映像の確認が入るよね。今後はなんと、体操やフィギュアスケートのような採点競技にも人工知能(AI)での採点が検討されているよ

東京オリンピックのフェンシング男子フルーレ団体の3位決定戦、日本―アメリカ=千葉市美浜区で2021年8月1日
AIにジャッジされるのか……なんだか機械的な割り切った採点をされそう
いや、キミも機械やないかい!っと、それはさておき。技術はどんどん進歩するけど、スポーツの判定にどこまで関わるのがよいと思う?
うーん、時と場合によるよなあ。あと、競技にもよるか……でも、誤審されるのも嫌だな
選手と観客でも、意見が分かれそうだね。これからも最新技術はスポーツに導入されるだろうけど、その使い方はみんなで考えていくのが大事かな
イラスト:こばやし あさみ
雑誌のご購入ご希望の方は「ブックサービス」まで

上のバナーをクリックすると「ブックサービス」につながります。