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作文・日記・読書感想文│「書くことが苦手」を克服する方法とは?

今日あった出来事や、本を読んだ感想はすらすら「お話し」ができるのに、いざ「書く」となると手がとまってしまう。子供のみならず、大人になっても要点が整理され、伝えたいことが伝わる文章を作ることは難しいものです。

早稲田大学大学院で「文章表現」の講義を7年間担当したコラムニスト・近藤勝重さんは、著書『書く子は育つ 作文で〈考える力〉を伸ばす!』の中で、考えがまとまらず書けない時はどうしたらいいのか、その解決方法をご紹介します。

本記事は2022年1月3日の記事を一部再編集したものです

「書く話すの違い

 書くということがどういうことかを知るために、話すことと比べてみたいと思います。人は思ったことをぱっと口に出すことはできます。でも、思ったことをそのまま書けと言われたら、きっと書けないでしょう。

 そのまま文章にしても話がとんだり、脈絡がなかったり、気遣いの足りない無神経な表現が入っていたりするのではないでしょうか。頭の中だけで考えていると、同じところをぐるぐるまわるということがあります。考えがまとまらないことも多々あります。

 そのことに気づいて、考えたことの断片を「メモ書き」する。すると考えがまとまってきたり、深まってきたりする。そうなんです。メモなどを取りながら考えていくと、ここが欠けていたとか、ここがわかっていなかったとか、いろいろ気づき、見直すことができます。不思議なもので、手で書けば同時に頭が働くんですね。

まとめ作業すると頭に入る

 学生だったころ、ぼくらは試験の時期になると「ノート、まとめた?」と声を掛け合いました。要点をノートに書き出して、自分なりに整理することを「まとめる」と言っていたのです。

 まとめの作業をするとよく頭に入る。手で書いて考える習慣はそうして身についたものです。人は何かを書こうとする時、自分を見つめ、その内容を確認するものです。例えば手紙を書く時、ペン先が紙にふれる直前でかたまってしまうのも、それが理由でしょう。

 改まって考えたことを文字化する。単なる用件や急ぐ連絡などは携帯やメールですませられますが、自分の意見や考えを相手にちゃんと伝え、その人に力になってもらわなければならないなどの内容ですと、やはり手紙でしょう。一通の手紙が自分の人生を左右する場合だってあり得ますよね。

 改まる。きっとこれが手紙のいいところなんでしょう。正面から向き合うことが難しかった相手に書く手紙などは、その価値が一段と増すことでしょう。
改まるということで、下書きをしたりする人もいるでしょうが、ぼくは下書きはいいことだと思っています。文章がうまくまとまらず、何度か書き直しているうちにだんだんと考えもまとまってくるんですね。

「書くこと」で長期記憶として脳にとどまる記憶される

 ついでながら、「書くこと」と「脳内の働き」にふれておきます。
文章を書く上で必要な記憶は、大脳皮質の側頭葉に長期記憶として蓄積されています。書く際には、やはり大脳皮質にある前頭葉が「こういう記憶を」とリクエストして、長期記憶から情報を引き出すわけです。

 これも大事なことなので付記しておきますが、長期記憶として安定的に保存されているのは「体験記憶」です。書く際に確認した事柄なども、それ相当の間、長期記憶にとどまっているようです。

『書く子は育つ』が読める他、大人も子どもも読んでためになる厳選された書籍が楽しめます。

紹介した本はコチラ

 書影をクリックすると本の通販サイト「Amazon」のサイトにジャンプします

書く子は育つ

著者:近藤勝重 出版社:毎日新聞出版 定価:1.210円

本書の目次

第1章 文章を書くというのはどういうことか
第2章 文章は上手、下手よりテーマのとらえ方
第3章 文章は体験と気づく力の産物
第4章 五感と身体感覚をフルに生かそう
第5章 伝わってこその文章

著者プロフィール

近藤 勝重(こんどう・かつしげ)

コラムニスト。毎日新聞客員編集委員。早稲田大学政治経済学部卒業後の1969年毎日新聞社に入社。早稲田大学大学院政治学研究科のジャーナリズムコースで「文章表現」を出講中、親交のあった俳優の高倉健氏も聴講。毎日新聞では論説委員、「サンデー毎日」編集長、専門編集委員などを歴任。夕刊に長年、コラム「しあわせのトンボ」を連載中。『書くことが思いつかない人のための文章教室』、『必ず書ける「3つが基本」の文章術』など著書多数。コラムや著書の一部が灘中学校をはじめ中高一貫校の国語の入試問題としてよく使用され、わかりやすく端正な文章には定評がある。TBS、MBSラジオの情報番組にレギュラー出演し、毎日新聞(大阪)では「近藤流健康川柳」を主宰している。(この書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)