ウクライナ情勢を巡り、国連安全保障理事会(安保理)は2月25日に会合を開き、ウクライナに軍事侵攻したロシアを非難し、武力行使の即時停止と撤退などを求める安保理決議案を採決しました。米欧など11か国が賛成しましたが、ロシアが拒否権を行使し、否決されました。15か国のうち、3分の2以上の11か国の国が賛成したのに、なぜ否決されたのでしょうか?
安保理の役割、どのような国々で構成されているのか、また、なぜ常任理事国の5か国だけ「拒否権」を持つのか、見てみましょう。
国連安全保障理事会(安保理)とは
◆
賛成多数なのになぜ「否決」されたの?
安保理の決議案が採決されるには、9か国以上が賛成し、常任理事国が「拒否権」を行使しない必要があります。常任理事国の反対投票は「拒否権」と呼ばれ、1か国でも反対すれば、決議は「否決」されます。
常任理事国は、「棄権」することもできます。「棄権」する常任理事国があっても、9票の「賛成」を得られれば決裁は採択されます。
今回のロシアの武力行使の即時停止と撤退などを求める決議案は、中国、インド、アラブ首長国連邦が「棄権」をしましたが、11か国が賛成しました。しかし、常任理事国のロシアが拒否権を行使したため「否決」となったのです。
◆
なぜ5か国だけ「拒否権」を持っているの?
なぜ5か国に「拒否権」が与えられているのでしょうか。
国際連合広報センターがホームページで公開している「10分で知る国連」でその背景を紹介しています。
第二次世界大戦の末期、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア(当時はソビエト連邦)、中国の5か国は、国連の創設に鍵を握る重要な役割を果たしました。
国連憲章の起草者たちは、これら5か国が国際の平和と安全の維持に重要な役割を果たし続けることを想定していました。「5大国」が「拒否権」と呼ばれる特別の投票権を与えられたのは、このためです。
起草者たちは「5大国」のいずれかが15か国構成の安全保障理事会で反対投票を行った場合、決議も決定も採択しないことで合意したのです。
(「国際連盟広報センター『10分でわかる国連』より)
(ニュースがわかるオンライン編集部)