どう生きる? 人生120年【月刊Newsがわかる3月号】

なぜ雨上がりに虹が出るの?  <この世界のしくみ>

 誰もが一度は抱いたことのあるような問いについて、哲学者が、子どもたちとともに考えていくという形で書かれた「子どもの哲学」シリーズの第2弾『この世界のしくみ 子どもの哲学2』(毎日新聞出版刊)。大人も子どももいっしょになって、ゆっくりと考えてみませんか。本書から一部をご紹介します。本書のもとになった「てつがくカフェ」は、毎日小学生新聞で毎週木曜日に連載中です。

太陽の光と水滴がそろう……ゴードさん

 虹は、太陽の光が雨の粒にぶつかって、たくさんの色の光に分解されたものなんだって。太陽の光には色がないように見えるけれど、水滴や、プリズムと呼ばれるガラスの三角柱などにぶつかると、いろいろな色に分かれる。不思議だね。

 虹が出るためには、太陽の光と水の粒の、両方が必要だ。だから、晴れの日には虹は出ない。光はあるけれど水滴がないからね。でも、天気雨のときには、光と雨粒の両方があるから、雨が降っている最中に虹が出やすいんだよ。それに、晴れた日にホースで水をまけば、光と水滴の両方がそろうから、自分で虹を作ることもできるんだ。

 逆に、どんより曇った雨の日には、水滴はたくさんあるけれど光がない。そんな日は、たとえ雨が上がったとしても、光がないから虹は出ない。虹が出るのは、夏の夕立の後のように、雨がやむ頃に空がぱっと晴れて、太陽の光が雨粒の中に差し込む日だけなんだよ。

美しいのはなぜ?……ツチヤさん

 雨上がりに虹が出るしくみは、ゴードさんが説明してくれた通りだ。これであなたの疑問は解決したかな? ……もしかしたら、まだもやもやが残っているかもしれないね。少なくとも僕はそうだ。

 僕の中に残っているもやもやは、じゃあなんで虹はあんなにも「きれい」なんだろうってことだ。太陽の光が雨粒に分解されて虹になるのはわかった。でもだとしたら、虹があんなにもカラフルできれいな色の光に分解されるのは、単に「たまたま」ってことになる。太陽光が自然の法則にしたがって分解されただけなのに、それによって生まれる虹は、多くの人にとって美しく感じられ、心地よい感情を引き起こす。これってよく考えてみると、とっても不思議なことなんじゃないかな!

 虹だけじゃない。たとえば、雪の結晶を顕微鏡で見ると、信じられないくらいきれいな形をしている。なんで「たまたま」起こっただけの「自然」の中に、こんなにも釣り合いの取れた美しいものがあるんだろう? その理由を解明しないと、なぜ雨上がりにこんなにもきれいなものが現れるのかを説明したことにはならないって僕は思うんだ。

大空にかかると気分が違う……コーノさん

 これまでずいぶん虹を見たけど、雨が降って急に晴れたときよりも、天気雨のとき、つまり、空の一部で雨が降っていて、別の場所は雲がなくて太陽が出ているときのほうが多かったね。山で霧がかかって、そこに背後から日が差したときにもしばしば虹ができる。これもよく見たことがある。あとは、雨が上がった後でなくても、空気中に水分が多いときにはできると思う。

 それから、空にかかるほど大きくないけれど、大きな滝の近くではいつも見えるよ。自分で作ることも難しくない。太陽を背にして、霧吹きで細かい水の粒を飛ばす。そこに日が当たると虹ができる。自分でやってみてね。すぐにできるよ。だから、虹は別に珍しくないし、雨上がりばかりに虹ができるわけではない。

 でも、天気雨って降っているか止んでいるかわからなくて、ちょっと中途半端な感じだし、山で霧の中に見えてもそんなに鮮明じゃなくて感動しない。滝の近くの虹は小さすぎる。雨がザーッと降った後に、きれいに晴れて、大空に虹がかかるとなんかきれいで、感動的で、特別なものに思えるよね。気分の違いかな、つまり。
「てつがくカフェ」は毎日小学生新聞で毎週木曜日に連載中

<5人の哲学者をご紹介>

河野哲也(こうの・てつや)

立教大学文学部教育学科教授。専門は哲学、倫理学、教育哲学。NPO法人「こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ」副代表理事。著書に『道徳を問いなおす』、『「こども哲学」で対話力と思考力を育てる』、共著に『子どもの哲学』ほか。

土屋陽介(つちや・ようすけ)

開智日本橋学園中学高等学校教諭、開智国際大学教育学部非常勤講師。専門は哲学教育、教育哲学現代哲学。NPO法人「こども哲学 おとな哲学アーダコーダ」理事。共著に『子どもの哲学』、『こころのナゾとき』シリーズほか。

村瀬智之(むらせ・ともゆき)

東京工業高等専門学校一般教育科准教授。専門は現代哲学・哲学教育。共著に『子どもの哲学』、『哲学トレーニング』(1・2巻)、監訳に『教えて!哲学者たち』(上・下巻)ほか。

神戸和佳子(ごうど・わかこ)

東洋大学京北中学高等学校非常勤講師、東京大学大学院教育学研究科博士課程在学。フリーランスで哲学講座、哲学相談を行う。共著に『子どもの哲学』ほか。

松川絵里(まつかわ・えり)

大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任研究員を経て、フリーランスで公民館、福祉施設、カフェ、本屋、学校などで哲学対話を企画・進行。「カフェフィロ」副代表。共著に『哲学カフェのつくりかた』ほか。

 

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