Qなぜ日本の食料自給率は低いのですか?(長野県、小5)
豊かになった食卓、国産だけでは困難
A 国内で食べる食料が、国内でとれたものでどれほどまかなえているかを示す割合を食料自給率といいます。食料に含まれるカロリー(熱量)で表す方法(カロリーベース)と、生産額で表す方法(生産額ベース)があります。
日本の食料自給率は現在、カロリーベースで38%です(2019年度)。今の調査方法になった1965年度は73%でした。その後、下がる傾向が長く続き、2010年度以降は、40%を割り込んでいます。先進国の中で、とても低い水準にあります。
理由として、まず食生活の変化が挙げられます。
第二次世界大戦後、経済が豊かになる中で、食事の種類も豊かになりました。主食としてコメだけでなく、小麦から作られるパンやめんもたくさん食べられるようになりました。肉や卵、油を使った料理も広まりました。しかし山が多く平地が少ない国土の特徴などから、日本で生産できる作物には限りがあります。
例えば、牛や豚などの畜産物のエサにするトウモロコシなどの穀物や、油のもとになる大豆や菜種などは、国内で大量に作るのは難しいとされます。その結果、古くから作られてきたコメの自給率は現在98%ですが、それ以外を見ると、小麦は17%、畜産物は15%などで、平均すると食料自給率は低い値となってしまいます(2019年度、カロリーベース)。
また外食の増加や冷凍食品などの普及も、食料自給率を低くしている原因と考えられています。外食チェーン店や食品加工会社は、原材料を安く大量に手に入れるために、海外からの輸入品に頼る傾向があります。
食料自給率が低いということは、外国に食料の多くを頼っていることを意味します。世界がいつも平和とは限らないので、将来も安定して輸入できる保証はありません。
仮定の計算ですが、国の役所である農林水産省によると、輸入が止まった場合、いも類などを中心に栽培すれば、カロリーの面では日本人の食はまかなえると考えられます。しかし食卓はいも類が中心となり、卵は7日に1個、肉は9日に1食、牛乳は6日に1回コップ1杯しか口にできないなど、今の食事風景とは違うものになります。
日本の食を保つために、食料自給率の向上は欠かせません。国は、国産品が比較的多く使われる和食をもっと国民に食べてもらうなどして、食料自給率を2030年度にカロリーベースで45%に高めたいとしています。【毎日小学生新聞編集部・長岡平助】
(毎日小学生新聞2021年1月19日掲載)

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