逆算思考の練習で目標を達成
慶應義塾大学商学部に進学した高橋諒さんは、高校時代から八種競技の選手として活躍。高1、2と全国高校総体で優勝し、高3では高校日本記録を樹立。昨年はU20世界選手権にも出場した。
小学生時代から足は速く様々な大会で活躍し、中学受験勉強をしながらも小5までスポーツは続け、桐朋に入学した。「練習方法はまず自分で考え、先生にアドバイスをもらい、再度検討して実行していました。目標設定後に逆算方式で、各段階でやるべきことに優先順位をつけて実践しています」という高橋さん。これは陸上だけでなく勉強においても同様だという。
競技と勉強の両立については、部活で減る勉強時間を「通学時間はもちろん、入浴時もプリントを入れた密閉袋を浴室に持ち込むなど隙間時間をフル活用して工夫しました。勉強が辛いなと思った時は、自ら興味を持てるようにしましたね。興味がなかった地理も地図帳を広げて『ここに行きたい!』と思った場所は、徹底して調べると、どんどん興味も湧いてきて地理が面白くなり、点数も伸びました」と笑う。
理系だったが、株に興味を持ち始め、商学部へ進路を変えた高橋さん。将来は「金融の世界で働きたい」と語った。
自分が納得できる根拠ある練習
陸上競技部のキャプテンを務め、今春東京大学理科一類へと進学した吉澤登吾さんは、800m走でU18陸上競技大会(高2)、U20陸上競技大会(高3)で共に優勝し、U20世界選手権にも 出場した輝かしい成績を誇る。
遠い目標設定ではなく、目に見える一歩先の目標を一つずつクリアし、それを繰り返すことが大切だと語る吉澤さんの練習法のモットーは『根拠のない練習はしない』。辛い思いをするなら、自分が納得した練習をしたいと言う。「自分を納得させるためにもネットや書籍での情報収集はもちろん、外堀先生や競技会の合宿で出会ったコーチなどを含め様々な人に直接会って話を聞くようにしました」と吉澤さん。その対象は教科学習にも及び、吉澤さんが選択科目とする物理・化学も応用できるものは採用した。乳酸の知識や呼吸した際の体内酸素の知識は、生物を選択科目にする友人から学んだ。「走りは非常に複雑ですので、絶対的な練習方法はありません。ただ、今持っている知識を論理的に組み合わせた練習は、自分にとって納得できるものだと思っています」。
そんな吉澤さんにも怪我で苦しい時期があった。「あの時は『トップを目指すのではなく楽しもう』と決めたことで、気持ちが楽になりモチベーションが維持できました」と語った。外堀教諭は吉澤さんの練習メニューについて「高2頃から彼の話す内容・感覚が私の理解を超えてきたため、内容は確認しますが、本人に任せていました」と教え子の急成長ぶりに目を細める。
このように陸上競技部の躍進は外堀教諭の「主体性の尊重」や「結果を急がない指導」も大きい。高橋さんも「やらされているのではなく、やりたいからやる環境だったことが成長できた大きな理由」と語り、豊田さんも「結果を求められる強豪校とは違い、楽しく陸上に向き合える自由な環境だった」と振り返る。
桐朋の魅力を彼らに聞くと、「競技を離れ教室に戻れば、それぞれ頑張っているものを持ち、それを互いに尊重し合える仲間がいます。本当に自由にやりたいことをやれる学校です」と豊田さん。高橋さんは「職員室に生徒が自由に出入りするほど先生との距離が近く、自分のやりたいことを素直に伝えられる関係を築けます」。吉澤さんも「生徒の気持ちを察知し、時には見守り、時には手を差し伸べる。そんな生徒が望む通りの対応をしてくれる先生方の存在が魅力です」と教えてくれた。
(文/松岡理恵)
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TEL 042-577-2171
学校公式サイト https://www.toho.ed.jp
海外進学支援 有
帰国生入試 無
アクセス
国立駅(JR中央線)徒歩15分
谷保駅(JR南武線)徒歩15分
国内外大学合格実績(過去3年間)
東京、京都、東京科学、一橋、北海道、東北(医)、大阪、九州、東京外国語、東京藝術、筑波(医)、千葉(医)、弘前(医)、信州(医)、横浜市立(医)、名古屋市立(医)、東京都立、慶應義塾(医)、早稲田、上智、順天堂(医)、東京慈恵会医科、日本医科、エジンバラ、ダラム、カリフォルニア(サンディエゴ)、台湾など
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