英国が抱える課題に触れ、考え、議論する
SBBでは英国社会の影とも言える部分も安全性を担保した上で詳らかにしている。前述の移民が多い街・ブリックレーンでは町中に落書きがある。生徒たちは「怖い」と口にしたが、その背景には居場所のない若者たちの不安や不満があるのかもしれない。目の前の事象や行動はその発露に過ぎず、本質を見極めるための議論も促した。一方、炭鉱が閉鎖された町は政府の支援策により一見、整備され美しい。だが実情は治安の悪化や雇用問題を抱えた町だという。かつては繁栄を見せた主要産業が斜陽となった時、町の整備や支援金が本質的な解決策になり得るのかを考える機会となった。
その他、バイキングの影響が残る町・ヨークへも足を運んだ。異文化の流入は経済の活性化にはつながったが、文化や価値観、生活習慣の違いにより社会的秩序の乱れも生じた。異文化流入は経済面と社会秩序双方の観点から考える必要性があることを学んでいく。
生徒たちは〈観察→まとめ→議論→内省〉という学びのサイクルを毎日行う。同行する先生たちは現地で歴史的あるいは生態系の背景などの説明を必要最低限にとどめる。これにはobservation skills(観察技術)、自分の目で見て気づく力を身につけさせる狙いがある。その上で、各班に一人付く名門大学生のグループリーダーと班ごとに随時議論し、1日の日程を終えると3人の先生が加わり、生徒へ問いかけ、さらに深い内省へと導いていく。
帰国後、SBB参加生徒で顕著なのが家事を自ら行うようになった点だという。自立とは自ら考え主体的に行動に移すこと。「自立は周囲の人がいて初めて成立するものであり、その最小単位が家庭。家庭に貢献できない人は社会にも貢献できない」と岡田教諭。生徒が生きる未来は、流動的で産業の盛衰など様々な社会変化への対応を余儀なくされる。未来を生き抜くためにも社会に貢献するためにも自立する力は不可欠。しかし、岡田教諭は、生徒たちは自立し、育つ力を既に内包していると言う。「その力を摘み取らないためにも、勉学はもちろん、それ以外で芽生えた好奇心も尊重し、決して潰さないことが何より大切」と教育者としての強い思いを語った。
オックスブリッジへと広がる大学進学
巣鴨では、ほかにも様々な国際プログラムを提供する。「巣鴨サマースクール」は中2〜高1の希望者が対象。イートン校サマースクールと似た体験を夏休みの6日間、国内合宿で行い英国人講師に学ぶ。ここでの体験は英国や英語への強い意欲を生徒にかき立てる人気のプログラムだ。
医療をテーマに据えた「Double Helix:Translation Medicine」では第一線で活躍する英国人医師が来日。ハイレベルな講義内容はもちろんだが、生徒が特に大きな影響を受けるのが医師らの失敗談だ。彼らが失敗を通じて人格が磨かれていった過程、現在の活躍する姿を知ることで、生徒は現状や未来においての勇気と希望、そして学びへの意欲をかき立てられている。
最後に、海外進学で特筆すべきは、英国名門校クライストカレッジ・ブレコン校との「フレンドシップアグリーメント」の締結だろう。現在4名が制度を利用して留学中だ。この制度によりオックスフォードやケンブリッジなどの英国名門大学への現役進学も巣鴨生にとっては現実的な進路の一つとなっているのだ。(文/松岡理恵)
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帰国生入試 有
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国内外大学合格実績(過去3年間)
東京、京都、東京科学、一橋、北海道、東北、大阪、神戸(医)、筑波(医)、千葉(医)、信州(医)、富山(医)、福島県立医科、防衛医科、防衛、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、明治、東京慈恵会医科、日本医科、順天堂(医)、昭和医科(医)、東京医科、東邦(医)、日本(医)、北里(医)、国際医療福祉(医)、ハンガリー国立(医)など
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