高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は豊田高専を紹介!
豊田工業高等専門学校は、1963(昭和38)年に愛知県豊田市に設立され、幅広く豊かな人間教育を目指し、数学・英語・国語などの一般科目と実験・実習を重視した専門科目に基づくカリキュラムにより,実践的、専門的な技術者教育を行っています。機械工学科、電気・電子システム工学科、情報工学科、環境都市工学科、建築学科の5学科と専攻科3専攻(電子機械工学、建設工学、情報科学)があります。
地元企業向けの連携・技術者教育と国際化への取り組み
本校内には豊田商工会議所・豊田市・豊田工業高等専門学校の三者(産官学連携)協定によって開設された、「とよたイノベーションセンター」があり、本校は、本センターが担う地域企業発展のための役割の一つである「ものづくり人材育成」に尽力しています。例えば、地域企業の技術者向けリスキリング教育となる「製造技術者育成プログラム」や、本校専攻科生と地元企業技術者がチームを組んで企業内の課題を解決する,「『デジタル×ものづくり』カレッジ」などを実施しています。

デジタルものづくりカレッジの様子(豊田高専提供)
また、グローバル人材育成も重要な成長戦略と位置付けています。全国トップクラスとなる年間あたり40名程度の学生が参加する「長期海外留学による異文化体験」、交流協定による留学生の受け入れ、「英語多読」※1等によるコミュニケーション能力育成教育が行われています。加えて、近年では本校の学生が海外の学生とペアとなり、与えられたテーマに基づきオンラインビデオ作成を競う「国際交流ビデオコンテスト」や、タイ高専の学生を対象とした1か月研修受け入れなどを実施し、国際化への取り組みを進め、Global Citizenshipを備えた創造的社会課題解決型人材の育成に努めています。
※1 英文を日本語に翻訳することなく大量に読み、英文読書を「楽しむ」方法

国際交流ビデオコンテストの様子(豊田高専提供)
各種コンテストにチャレンジできる魅力あふれる学生生活
本校は、ロボコンやプロコン※2等各種コンテストにも積極的に参加し、入賞実績も多数です。自律移動ロボットによる世界規模のコンテスト「ロボカップ」へ2004年以来継続して出場し、過去には3位入賞の実績があります。コンテストに限らず、興味を持ったことに時間を掛けて取り組んだ学生は、大学や企業から高く評価されています。

ロボカップ世界大会の様子(豊田高専提供)
また、本校の学生寮には600名近くの学生が生活しており、指導寮生や班長と呼ばれる高学年寮生は低学年寮生の生活をサポートしています。学生寮は、寮生の自治組織である寮生会によって運営され、寮祭(学生寮の文化祭)をはじめとした多くの行事が行われるなど、自律心や協調性を醸成する上でも重要な場として機能しています。留学生と日本人学生が共に生活する国際寮も設置しています。さらに、寮生活で身に付けた知恵や経験ならびに学生寮の仕組みは、2015年から活動を継続する学生主体の多世代参加型交流事業「豊田高専ドミタウン」を通して、 豊田市中山間地における関係人口創出・活性化への貢献に活かされています。
卒業生の約半数は本校の専攻科や国立大学の第3年次編入学により進学し、約半数は多様な産業分野で実践的技術者として、大学卒業生と同等に活躍しています。
※2 全国高等専門学校プログラミングコンテスト
【豊田高専へのアクセス】
所在地:愛知県豊田市栄生町2-1
■愛知環状鉄道:「愛環梅坪駅」下車徒歩約20分、「新豊田駅」下車徒歩約35分
■地下鉄(名鉄豊田線):「上豊田駅」又は「梅坪駅」下車徒歩約25分
■名鉄三河線:「梅坪駅」下車徒歩約25分、「豊田市駅」下車徒歩約35分