アニマルウェルフェアを学ぶ【月刊ニュースがわかる6月号】

わいわい言う人っているの?【日本語をつかまえろ!】

国語の授業をたのしんでいますか? 毎日小学生新聞の連載「日本語どんぶらこ」では、人呼んで「ことばハンター」こと『三省堂国語辞典』の編さん者の飯間浩明さんが身近にあって気になる日本語をとりあげています。金井真紀さんのほっこりしするイラストとともに、ことばの語源や新語や流行語など、気になることばをわかりやすく解説。ことばに関する疑問やモヤモヤがすっきりすると好評です。
この春、連載をまとめた最新刊『日本語どんぶらこ ことばは変わるよどこまでも』が発売されましたが、ことばに興味を持ったあなたも、国語に苦手意識があるあなたも、ことばの森で遊んでみませんか? ここでは既刊の『日本語をつかまえろ!』、『日本語をもっとつかまえろ』から、気になるコラムを一部ご紹介いたします。

下校時刻に、小学生たちが、みんなでわいわい言いながら帰っていました。

 こう書いてみて、私は「待てよ」と思います。子どもたちがにぎやかに帰っていたのは本当ですが、だれも「わいわい」とは言っていませんでした。なのに「わいわい言いながら」と書 くのは変です。

 同じようなことは、ほかにもあります。授業中、となりの子が、ぺちゃくちゃしゃべっていて、うるさかった。そんな経験はありませんか。でも、その子は「ぺちゃくちゃ」とは一言も言っていなかったはずです。

 本当は言っていないのに、「わいわい」「ぺちゃくちゃ」のように、ものを言うふんいきを表現したことばがあります。これは、「擬音語」と言われるものの一部です。

 ほかの例を考えてみましょう。ハイキングで「もうつかれたよ」「もう歩けないよ」と弱音 をはきながら歩いている人がいます。この人の様子を、擬音語を使って、どんなふうに表せばいいでしょうか。

 私なら「ひいこら言いながら歩いている」と表現します。

 「ひいこら」は、わりあい新しい擬音語です。といっても、私の子どものころには、もうあったことばですが。

 つかれた人は、本当に「ひいこら」と発音しているわけではありません。でも、「つかれた」「歩けない」と苦しそうに言う様子を聞いていると、それが「ひいこら」に聞こえてくるのです。ふしぎですね。

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日本語をつかまえろ!

文:飯間 浩明 絵:金井 真紀 出版社:毎日新聞出版 定価:1,540円

本書の目次

第1章 響きとリズム
第2章 漢字と仮名と
第3章 集団内のことば
第4章 こんな言い方もできる
第5章 相手に届くことば
第6章 国語辞典の楽しみ
第7章 ことばは変わる
第8章 地名は面白い
第9章 令和と万葉集

プロフィール

飯間浩明(いいま・ひろあき)
1967年、香川県生まれ。国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。国語辞典の原稿を書くために、新聞や雑誌、放送、インターネットなどから新しいことばを拾う毎日。街の中にも繰り出して、気になる日本語の採集を続ける。おもな著書に『辞書を編む』(光文社)『日本語をつかまえろ!』『日本語をもっとつかまえろ!』(ともに金井真紀との共著、毎日新聞出版)『つまずきやすい日本語』(NHK出版)『日本語はこわくない』(PHP研究所)などがある。

金井真紀(かない・まき) 
1974年、千葉県生まれ。文筆家、イラストレーター。「多様性をおもしろがる」を合い言葉に世界各地で人の話を拾い集めて、文や絵にしている。おもな著書に『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)『はたらく動物と』(ころから)『パリのすてきなおじさん』(柏書房)『子どもおもしろ歳時記』(理論社)『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)『テヘランのすてきな女』(晶文社)などがある。