Q 冷凍で野菜や果物が売られていますが、栄養価は変わらないのですか?(岐阜県大垣市、高1)
収穫後に急速凍結 低温で栄養長持ち
A 現在冷凍食品と認定されている野菜や果物は、ほとんど栄養価が変わらないことがわかっています。野菜などは、収穫後、みなさんの食卓に届くまでに時間がかかる場合が多いです。その途中で、栄養成分の一部は分解されてしまいます。しかし、冷凍食品は、畑で収穫された後、短時間で急速冷凍させてマイナス18度以下の低温で保存するので、収穫した時に近い栄養を保つことができるのです。
日本冷凍食品協会広報部長で、消費生活コンサルタントの三浦佳子さんによると、ほうれん草による実験では、生のものを収穫後4.5度の温度で保存すると、ビタミンCの残っている量は3日後に78%に、25度の保存では56%になってしまうそうです。しかし、マイナス18度で保存すると、ビタミンCの残っている量が50%になるのは約2.8年後だとわかっています。
冷凍食品は、さまざまな条件を守って作らなくてはなりません。条件の一つに「急速凍結」があります。急速凍結とは、食品を凍らせる時に「最大氷結晶生成温度帯」を短時間(だいたい30分以内)で通過する方法のことです。最大氷結晶生成温度帯とは、氷の結晶が大きくなりやすい、通常食品が凍り始めるマイナス1度からマイナス5度までを指します。この温度帯に長くいると氷の結晶が大きくなり、細胞や組織が破壊されてしまうのです。
また、野菜などは冷凍前に「ブランチング」という加熱処理をして、酵素の働きを抑えています。酸素が入らないように密封して、マイナス18度以下を保てば、変質しにくいそうです。三浦さんは「細菌も活動しないため、腐敗も進みません。野菜もそうですが、ブルーベリーなどの果物では、食品の鮮やかな色がそのまま維持できます」と話します。
「2~3か月で消費を」
しかし、自宅で保管するには、注意が必要です。開け閉めをたくさんする家庭用冷凍庫内を、マイナス18度に保つのは難しいからです。「家庭では温度変化が起きやすいので、品質を保ち、おいしく食べるには2~3か月で消費した方がいいでしょう」と三浦さんは説明します。
また、冷凍して販売されている製品の中には「そうざい半製品」と表示されているものがあります。こちらは「冷凍食品」ではなく、国が定めた規格基準がありません。三浦さんは「こちらは、加熱が必要なものが多いので、十分に加熱して食べてください。冷凍食品は包装に明記されているので、買う際には注意してみるといいでしょう」と話しています。【毎日小学生新聞編集部・田村彰子】(毎日小学生新聞2022年8月15日掲載)
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