推しの城 おもシロ ランキング【月刊ニュースがわかる2月号】

地域によってしょうゆの味が違う なぜ?【疑問氷解】

Q 同じ日本でも地域によって、しょうゆの味が違うのはなぜ?(兵庫県芦屋市、小5)

手に入る原料や気候、文化の違い

 A しょうゆは、日本農林規格(JAS)では、「こいくち」「うすくち」「さいしこみ」「たまり」「しろ」の5種類に分類されています。

 「こいくち」は一般的なしょうゆです。全国のしょうゆの出荷量の80%以上をしめます。原料は大豆、小麦、食塩です。蒸した大豆と、いった小麦に、こうじ菌や食塩水をまぜ、約6か月かけて発酵、熟成させます。

 「うすくち」は、関西地方で使われる色の淡いしょうゆです。「こいくち」よりも塩分が多めです。仕上げに甘酒を加えるのも特徴です。

 「さいしこみ」は山口県で生まれ、山陰地方や九州地方で使われます。色、味、香りとも濃厚です。食塩水の代わりに「こいくち」を使って仕込みます。

 「たまり」はトロリとしたコクのある味が特徴で、おもに中部地方で造られる色の濃いしょうゆです。ほとんど大豆で造ります。

 「しろ」は愛知県碧南市で生まれた、「うすくち」よりも色の薄いしょうゆです。甘みが強く、独特の香りがあります。小麦がおもな原料で、大豆を少量使います。

 日本醬油技術センターの松本秀樹さんは「味の違いは手に入る原料、気候風土、文化の違いによるものです」と言います。

 愛知県は高温多湿の気候であることから、発酵の遅い豆みそが発達しました。豆みそを造る過程でにじみ出た液体を取り出したのが「たまり」のはじまりと言われます。原料となる大豆や食塩は、尾張や美濃が江戸時代の交通の要所であったことから手に入りやすかったと言えます。

 一方、濃厚な「たまり」が生まれた愛知県で正反対のしょうゆへの要望もあり、「しろ」が造られたと言われています。

 関西地方で「うすくち」が生まれた背景には、日本酒の生産地が近いためおけなどが調達しやすく、小麦や食塩の産地が近いことなどがありました。また、京都に近く、精進料理などでは濃い色を避けるため、生まれました。

 室町時代に「たまり」が生まれ、江戸時代になると千葉県の銚子や野田で「こいくち」が生まれました。江戸時代後期には現在の5種類がそろったと思われます。 【毎日小学生新聞編集部・篠口純子】

 (毎日小学生新聞2020年6月23日掲載)