新聞、ニュースでよく見聞きする時事問題やワードを「ニュース時事能力検定」がわかりやすく解説します。
性や生殖に関することを自由に決定でき、そのための情報と手段を得ることができる権利をリプロダクティブ権(注1)という。特に女性は妊娠・出産の可能性があり、子どもの数や出産時期などを自己決定できることが重要だ、という認識が世界的に広がりつつある。
この概念は1994年、エジプト・カイロで開かれた国際人口開発会議で提唱された。翌1995年の第4回世界女性会議で採択された「北京宣言」には、「女性の リプロダクティブヘルスの促進」が盛り込まれた。背景には、妊娠や避妊、中絶が本人の意思を尊重しないまま行われていることに対する問題意識がある。
国内では、旧優生保護法(注2)を巡る問題でリプロダクティブ権が注目された。旧法下で不妊手術を強制されたとして障害者らが起こした国家賠償請求訴訟で仙台地方裁判所は、日本国憲法に明記されていなくても憲法13条(幸福追求権)に基づく権利に当たる、との初の司法判断を示した(2019年)。
ただ、同判決は「国内ではリプロダクティブ権について議論の蓄積が少ない」とも言及。性教育や性暴力への対応は遅れているとの指摘もある。一方、人工妊娠中絶 や同性愛に反対する立場から、リプロダクティブ権に慎重姿勢を示す意見も国内外で 根強い。
<注1>セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)と表記することもある。
<注2>旧優生保護法……「不良な子孫の出生防止」を目的に、障害者らへの不妊手術や人工妊娠中絶を認めた法律。1948年に制定され、1996年に廃止された。旧法に代わり、母体保護法が制定された 。
(「2024年版ニュース検定 公式テキスト「時事力」発展編(1・2・準2級対応)」より)
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検定の出題は、50分で各級45問。1級は四肢択一(選択肢から一つを選ぶ方式)と記述で、2・準2級はすべて四肢択一。2~5級の検定問題の約6割は、公式テキスト・問題集から出題されます。
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