Q なぜ視力が落ちるのですか?(愛知県豊田市、小2)
近い距離で長時間 ピント合いにくく
A 東京都板橋区の眼科医の鈴木弘一さんに教えてもらいました。
大人の眼球の直径は24ミリメートルほどです。眼球の外側は、角膜と強膜からなる外膜でおおわれています。眼球は成長とともに大きくなるため、子どもの外膜は大人ほど硬くありません。
目から近い距離のモノを毎日長時間見続けると、眼球を大きくするような力が外膜に長くかかります。モノが見えるには、眼球の内側の膜である網膜の上でピントが合う必要がありますが、眼球が大きくなると、ピントが合うところよりも、網膜の位置が後ろになってしまいます。その結果、遠くが見えにくい近視になるのです。

近視の完全な治療法はまだ見つかっていませんが、予防するには、モノを見るときに目を近づけすぎないことが大切です。30分ごとに遠くのものをじっと見たり、遠くのカレンダーの数字と近くの自分の指の指紋を交互に見たりする「遠近体操法」をしてみましょう。
昔は近視の人は少なかった?
質問には「コンタクトやめがねがなかった昔の人々は、視力が悪い場合、どうやって生活をしていたのですか?」という続きがありました。
東京メガネミュージアム(東京都世田谷区)で教育室長の我妻三朗さんに聞きました。
めがねの起源は諸説ありますが、13世紀のイタリアで発明されたという説が有力です。めがねを日本に初めて伝えたのは宣教師フランシスコ・ザビエル(1506~52年)で、大名や裕福な人しか手に入れることができない高価なものでした。
江戸時代には、日本でも初めてめがねが作られるようになりました。当時のめがねは手元を見るタイプが多かったことを考えると、近視の人は少なく、老眼の人が多かったと考えられます。電気がない昔は、明るい昼間に活動し、日が落ちると寝るという生活でしたから、目を使う時間は現代人よりもかなり短く、目が悪い人も少なかったとみられます。【毎日小学生新聞編集部・木谷朋子】
(毎日小学生新聞2020年2月18日掲載)