Q 使い始めはよく泡立つせっけんが、最後の方は硬くなって泡立ちにくくなるのはなぜ?(京都府、小5)
水のイオン成分に反応 泡立ち悪く
A 花王の河野和正さんと紺野茂之さんに聞きました。同社は1890年からせっけんを製造・販売しています。
せっけんは、水に溶けやすく泡立ちの良い成分と、水に溶けにくく泡立ちにくい成分からできています。溶けやすい成分だけでは、すぐに溶けてしまいます。形を保つためにも、溶けにくい成分を含んでいるのです。
せっけんを使い始めると、水に溶けやすい成分が先に溶け出てしまうことがあります。また、水道水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンというものがせっけんの成分と結びつくと、水に溶けにくい「せっけんカス」ができ、泡立ちが悪くなります。風呂場でせっけんを使うと、洗面器の湯が白っぽくにごったり、壁や床、洗面器が白くなったりします。それが「せっけんカス」です。温泉でせっけんの泡立ちが悪いのも、温泉水にはイオン成分が多いからです。より多くのせっけんカスが発生して、泡立ちにくくなります。泡立ちが悪くなる原因はほかにもあります。せっけんが小さくなって、水と接触する面積が小さくなった場合や、せっけんの水分が減って硬くなった場合も、泡立ちにくくなります。
せっけんは泡立てないと除菌の効果がありません。最後まで泡立ちよく使い切るにはどうしたらよいでしょうか。
早めに使う 水切れよく
袋から出したら早めに使うのと、なるべく水がかからず、水切れがよいところに保管します。水はけが悪いところに置くと、水に溶けやすい成分が先に流れてしまうだけでなく、雑菌も繁殖しやくすくなります。
小さくなったせっけんは、水を少しつけて表面を溶かして圧力を加えると、別のせっけんとくっつきやすくなります。小さいせっけんをまとめてネットに入れると、水切れもよく、泡も立ちやすくなります。
【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.6(毎日小学生新聞)」より)