【ニュースがわかる2024年10月号】巻頭特集は「発明が世界を変える」

高専に行こう!松江高専編

高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回松江高専を紹介!

 松江高専は、昭和39年4月に開校して今年度60周年を迎えます。現在は本科5学科と専攻科2専攻によって構成されています。「(ま)学んで (つ)創れる (え)エンジニア」を合言葉に、約1100名の学生が活発に学校生活を送っています。女子学生の割合は年々増加しており、学内全体での女子学生比率は約25%です。また、350名程度が寮生活を送っており、寮生が多いことが特徴の一つと言えます。

アントレプレナーシップ教育

 松江高専では、高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業に応募した「松江高専起業家育成エコシステム」が採択され、アントレプレナーシップ教育に力を入れて取り組んでいます。採択に当たっては、他高専の参考に資する取り組みの5件に選ばれ、その申請内容は高い評価を受けました。現在取り組みは2年目となり、松江高専生の課外活動の1つとして学内でも定着しています。
代表的な取り組みとして、「ミニスタートアップ塾」と「スタートアップゼミ」が挙げられます。スタートアップ塾では、企業で活躍されている経営者の方などを本校にお招きし、座談会形式で企業の経営やキャリア等についてお話しいただき、学生と交流する取り組みを行っています。スタートアップゼミでは、4年生以下を主な対象として、低学年のうちから高度なプロジェクトやものづくりに取り組める環境を整えています。昨年度は、スタートアップゼミから大学との共同研究に発展した事例もありました。

スタートアップ塾(企業の方の講演座談会)

タイ高専プロジェクトと国際化

 松江高専では、6月から7月にかけて約一か月間、タイ王国のKOSEN-KMUTTから24名の学生と2名の教員を受け入れました。受入れ期間中は、専攻科カリキュラムの1つである「システム技術実験」に日本人学生と共同で取り組みました。双方の学生が刺激を受けあう充実した1か月間となり、地元の新聞やラジオでも取り上げていただきました。
また、グローバルエンジニア育成プログラム(令和元~5年)に採択されており、夏休み・春休みには海外研修が企画され、学生の希望に応じてハワイやオーストラリア、ドイツなどへ研修に出掛けています。コロナ禍で海外研修が難しかった期間には、オンライン交流や沖縄の米軍基地訪問などの取り組みを実施しました。さらに、令和5年には工学教育に関する国際会議「ISATE2023」を本校主催で開催しました。タイ高専の受け入れや国際会議のホスト校を経験したことで、学内での国際化意識は広く浸透し、格段に向上しています。

KOSEN-KMUTT学生との記念撮影

海外研修(ハワイ)での様子

【松江高専へのアクセス】
所在地:島根県松江市西生馬町14-4

■JR松江駅からタクシーで約15分
■JR松江駅から、恵曇(えとも)行 または片句行バス乗車、高専前下車で約25分