【ニュースがわかる2024年10月号】巻頭特集は「発明が世界を変える」

海の魚のウロコについて知りたい 【疑問氷解】

Q 海の魚のウロコについて知りたい。(小5)

外の世界から身を守るため

 A 魚の体の表面をおおっているウロコ。触ると硬いことがわかります。大阪市の水族館「海遊館」の飼育係員、村井貴史さんは「魚のウロコは、外の世界から身を守るためにあります」と話します。

 外敵から身を守るには、硬い表皮でがっちり固めてしまうのが一番です。しかし、それでは体を動かすことができません。小さなウロコで一枚一枚おおうことで、泳ぎやすく、外敵から身を守ることができるのです。

 魚は水中で暮らしています。液体は、皮膚などの膜を境にしたとき、濃度が高いほうにしみていきます。これを浸透圧といいます。海水は、魚の体液よりも塩分が濃いので、体の水分が海水に出て行こうとしますが、ウロコで、この浸透圧を和らげ、体外に水分が出て行くのを防ぎます。逆に、淡水にすむ魚は、水よりも体液のほうが濃くなるので、ウロコで体内に水が入らないようにし、水ぶくれになるのを防いでいます。

 アナゴやナマズなど、ウロコのない魚もいます。こうした魚は触るとぬるぬるしています。ウロコの代わりに粘液を出して体を守っているのです。砂や穴に潜る魚に多く、粘液のほうが潜りやすいためだと考えられています。

 ウロコは皮膚が変化してできたものです。タイやイワシなど多くの魚はコラーゲンや繊維から、エイやサメなどの一部の魚はエナメルと歯質でできています。これは、人間の歯と同じ成分です。「生きた化石」ともいわれる原始的なサメ、ラブカのウロコを観察すると、歯とウロコの境目がよくわかりません。こうしたことから、人間をはじめ、動物の歯は、ウロコが進化したものだと考えられています。

 村井さんは「外敵が多いか少ないかなど、環境によってもウロコの形質はさまざま。観察すると楽しいですよ」と話しています。

【毎日小学生新聞編集部】

ジンベイザメ(写真上)などのサメやエイは、ウロコだけでなく、尿を変化させた物質をため込んで体内の濃度を上げ、浸透圧から身を守っています=大阪市港区の海遊館で2015年、撮影

  (「疑問氷解 Vol.7(毎日小学生新聞)」より)