Q チョウは羽を閉じて止まるのに、ガはなぜ羽を開いて止まるのですか。(神奈川県・小6)
■チョウとの区別は微妙
A チョウに比べ、夜、電灯に張り付くガには不気味なイメージがありますね。ところが、多摩動物公園(東京都日野市)の昆虫園でチョウの飼育を担当している吉川道子さんに聞くと、チョウとガの分類は簡単ではなく、チョウは羽を閉じて止まり、ガは開いて止まるとはひとくちにいえないことがわかりました。
学術的にはガもチョウも同じ「鱗翅目(りんしもく)」というグループに入ります。「鱗」は魚のうろこ、「翅」は羽を意味する漢字で、羽を顕微鏡などで拡大してみると、魚の鱗のような鱗粉がついているのがわかります。
吉川さんは「どちらかというと、ガの一部がチョウと呼ばれると考えた方がいいかもしれません。日本のように『チョウ』、『ガ』と呼び分けない国もあります」
あえて違いを挙げるなら、チョウは触角の先が丸く太くこん棒のようになっていて、ガの触角の先は羽毛状だったり、とがったもの、くし状に分かれているものがあります。またチョウの特徴として、昼間に活動することが挙げられますが、それについても、例外があるそうです。鱗翅目は世界中で約15万種類が確認されていて、日本にはガだけで5000種類、チョウは260種類が生息すると言われています。
羽を閉じて止まるかどうかも、チョウとガで明確に違うわけではないようです。「同じチョウと呼ばれる仲間でも、夜休息するとき、アゲハチョウは羽を開き、モンシロチョウは閉じて止まっていますよ」と吉川さん。羽の開閉は体温調節のためにもすると考えられていて、気温が低いときは体温を下げないために、反対に、暑い夏の太陽の下では、体温が上がり過ぎないように羽を閉じる姿が見られます。
また、一部のチョウは、雄が自分の縄張りを示すために羽を広げて止まることがあるそうです。【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.8(毎日小学生新聞)」より)