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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

季節表す「二十四節気」【ニュース知りたいんジャー】

今月1日に国立天文台が、来年の春分の日は3月20日と発表しました。ニュースでも聞くことの多い、立春や春分、夏至などの季節の呼び方を「二十四節気」といいます。知っているようで知らないことも多い二十四節気について、国立天文台暦計算室(東京都三鷹市)の片山真人室長に聞きました。【田嶋夏希】


 ◇二十四節気って何?


 太陽の周りを1年かけて1周する地球の軌道を24等分して、それぞれの位置にある日を、季節を示す目印と決めたものです。立春、立夏、立秋、立冬は、それぞれの季節の始まりを表します。
 6月21日ごろの夏至は、太陽が最も高くなり、一年で昼が最も長くなる日。一方、12月21日ごろの冬至は、太陽が最も低くなり、最も昼が短くなる日です。地球から見た太陽の位置と結びついた暦なので、4月19日ごろの穀雨のころに種まきを行い、6月5日ごろの芒種のころに田植えをするなど、昔から農作業の目印となってきました。


 ◇年によって日付が変わるの?


 立春は2月3日から5日の間、秋分は9月22日から24日の間など、年によって変わります。それは、地球が太陽の周りを1周するには、正確には365日と約6時間かかり、人間が決めた1年間では回りきれないからです。
 例えば「2月3日午前0時」に、「立春」の位置に地球があった場合、翌年に地球が同じ位置)に来るのは「2月3日午前6時少し前」となります。これをくり返していくと、立春の日はどんどん後ろになってしまいます。そこで、4年に1度ある「うるう年」には1年を366日にして、地球の動きに対して進んでしまった日付を調整しています。今年もうるう年なので、2月が1日多い29日まであります。
 しかし、1年あたりのずれは6時間よりやや短く、うるう年で24時間増やすのは増やしすぎなので、うるう年を400年間に3回減らしています。このような細かい調整で、立春をはじめとする二十四節気の日付が変わります。


 ◇日にちはどうやって決まる?

 地球の位置を計算し、その日付を決めるのが国立天文台です。毎年2月1日ごろに、翌年の二十四節気が発表されます。祝日である春分の日、秋分の日は、2025年は3月20日と9月23日になりました。また立春は2月3日です。今年(24年)はうるう年なので、その調整で来年の立春が2月4日の1日の範囲内に収まらず、2月3日になります。しばらくは4年に1回、うるう年の翌年の立春が2月3日になり、立春の前日にあたる節分は2月2日になります。
 地球の位置は計算で割り出しますが、太陽の周りを地球が回る時に、他の惑星や月の引力などを受けるため、とても複雑な運動になります。探査機を飛ばして惑星の位置を把握したり、月にレーザーをあてて計測したりしてデータを集め、予測精度を高めています。
 二十四節気の発表は1年ごとですが、計算は1000年先くらいの範囲でやっています。太陽と地球の位置から作り出された二十四節気を、片山さんは「暦は宇宙そのものの縮図」と言います。


 ◇実際の気候とずれていない?


 例えば2月4日ごろの立春のことをよく「暦の上では春」といいます。でも、春の暖かさとはほど遠く、むしろ一番寒いくらいの時期です。どうしてこのようなずれがあるのでしょうか。
 それは、二十四節気が作られたのが古代の中国の北の方で、そのまま日本へ伝わってきたからです。北部の都市・西安の現在の月別平均気温では今も、1月6日ごろの小寒~20日ごろの大寒が一番寒く、7月6日ごろの小暑~22日ごろの大暑が一番暑くなっていて、二十四節気と一致しています。
 ただ、「暦の上では」といっても、春の気配が全くないわけではありません。咲き始めた梅の花や、日没の時刻が遅くなることなどからも、季節の変化を感じられると思います。


 ◇楽しく覚えよう

 せっかくなので、覚えるために語呂合わせを考えました。ぜひ楽しく覚えてください。
春 立食(立春)パーティーに行ったら、カルピスが薄い(雨水)。「ケ~チッ(啓蟄)」と言ったら、しゅん(春分)としてしまった。でも姓名(清明)を伝えたら濃く~(穀雨)してくれた。
夏 立派なカ(立夏)ブト虫を探しに、ショウマ(小満)と公園に。帽子(芒種)でカブトをゲットし(夏至)た。少々(小暑)休んで大将(大暑)に見せに行った。
秋 立派なシュー(立秋)クリームが食べたくて、ヨイショヨイショ(処暑)とスーパーに。はくりょ(白露)くある字で「今週分(秋分)は売り切れ」と書いたかんろ(寒露)くある店員。そうこう(霜降)している間に閉店。
冬 1㍑(立冬)のお茶と小説(小雪)を持ってコタツに。大切(大雪)な場面で登場(冬至)したのは小カン(小寒)ガルーとお代官(大寒)様。(2024年02月28日毎日小学生新聞より)