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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

食用卵からヒナは生まれる?【疑問氷解】

Q どうして食べる卵からはヒナがかえらないの? (埼玉県朝霞市、小4)

無精卵だと生まれない

 A 親鳥が巣の中で卵を温め、やがてヒナがかえる感動の瞬間を、テレビなどで見たことがある人もいるでしょう。新しい命は、お父さん(雄)の体の中で作られた精子と、お母さん(雌)の体の中で作られた卵子が出合い、合体(受精)することから誕生します。

 鶏の場合、雄鶏と雌鳥が交尾し、受精して産まれた卵は有精卵となります。産まれた有精卵を37~38度で温めると、約21日でヒヨコが生まれます。

 ところが、通常食用になる卵は「受精をしていない、雌鳥だけで産まれた卵です」と、日本養鶏協会の山上善久さんは話します。受精をしなくても、雌鳥は卵を産むことができます。食用の卵を取るのに雄鶏は必要ないため、養鶏場では雌鳥だけが飼われています。

 雌鳥は、生まれてから平均20週くらいで卵を産み始め、7歳くらいで卵を産まなくなります。体の中の卵巣と呼ばれる場所から黄身が放出(排卵)され、濃い卵白に包み込まれ、薄い膜と殻ができます。排卵から産卵までは24~25時間。鶏は、おおよそ1日に1個の卵を産むことができます。

 養鶏場で飼われている雌鳥=写真下=は、1年で300個以上の卵を産んでいます。生まれて80週~110週程度の雌鳥が質の良い卵を産むとされるため、その期間を超えると世代交代。卵を産む必要がなくなった鶏は、食肉となります。

 スーパーなどでは、たまに有精卵が売られていることがあります。「温めると血管は出てくるかもしれませんが、温度調整など相当の手間をかけないとヒナがかえることはないでしょう」と山上さん。ちなみに、無精卵と有精卵で栄養価などは変わらないそうです。【毎日小学生新聞編集部・塩路佳子】

 

 

        (「疑問氷解 Vol.9(毎日小学生新聞)」より)