絵本、小説、図鑑、マンガ……書店にはあらゆるジャンルの本が並んでいます。「本との最高の出合いを提供する」という思いを胸に、三省堂書店成城店(東京都世田谷区)係長、大塚真祐子さんは仕事をしています。(「Newsがわかる2023年9月号」より)
子どもの頃から本が好き。祖母の営むマンガ専門の小さな本屋さんに遊びに行ったり、学校の図書館で「読みたいな」と思った本を借りてきたり、「本のある風景」の中で育ちました。大学生になって町の書店でアルバイトして以来20年余り、ずっと書店で働いてきたのも自然な流れだったような気がします。
書店員の仕事の一つは、お客さまが読みたい本を探すお手伝いをすること。
本のタイトルや著者、出版社がうろ覚えでも、どこで紹介されていたか、表紙のデザインはどんなふうか、ご自身はどんな本が好きかなど、ヒントになる情報を引き出して探し当てます。うまくいってお客さまに喜んでいただけるとうれしい。ここは経験がモノをいう、書店員の腕の見せどころと、大きなやりがいを感じています。
成城という地域性も考えたコーナー展開により、顧客の目を引きつけ、知的好奇心を刺激する。手のひらサイズの紙に書籍のおすすめポイントを書いたポップが各書籍に添えられている
本の入荷は1日2回。本のカバーに印刷されているバーコードを携帯端末機PDAで読み取り、その本を置く書棚の場所もPDAに登録する
大塚さんの担当は、哲学・思想、歴史、社会学などの人文書と、文学、小説、エッセーなどの文芸書など。担当の書棚をテキパキと整理していく
書店を訪れるみなさんの参考になればと、興味を引きそうなテーマのフェアを企画しています。「“学びの技術”本フェア」や「人文系出版社がおすすめする人文書※フェア」は好評で、毎年開催しています。
また、本の魅力を伝えるポップづくりも仕事の一つ。例えば、“スヌーピーの世界って禅だったんだ!!”とおすすめした「心をととのえるスヌーピー」は、成城店で1000冊近く売れています。こうした「売れる仕掛け」が当たると、書店員ならではの幸せを感じます。
近年は活字離れ、読書離れが進み、書店の未来を危ぶむ声も聞こえてきます。けれど私は、これからも紙の書籍はなくならない、本が伝える言葉は生きる力を与え続けると確信しています。ネット書店や電子書籍ともども、書籍文化を盛り上げていきたいですね。
(取材・文 千葉潤子 写真 武市公孝)
お客さまが本を手に取るきっかけになる「ポップづくり」はお手の物。「書くのが好き」な大塚さんは新聞の書評や本の解説も手がける
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