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高専に行こう!釧路高専編

高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は釧路高専を紹介!

 二つの国立公園を有する自然豊かなまち・北海道釧路市の西部に釧路高専はあります。恵まれた自然環境のなか、釧路高専では、「人間力」の基礎となる教養科目から最先端の科学技術を学ぶ専門科目まで、少人数教育の良さを生かしたきめ細かな学習指導をおこなっています。


1 基礎学力向上に向けた学習支援体制と特進数学の取り組み
 高専には、努力を続ければ自ずと高度な内容に到達する、合理的なカリキュラムが用意されています。したがって、基礎的なことを一歩ずつ確実に習得していく「コツコツ型」の学習が何より大切です。まさに「継続は力なり」なのです。しかし、時にはつまずくこともあります。中学校までは得意だった科目でも、思わぬところで授業についていけなくなるかもしれません。そこで、釧路高専では、特別補習授業(Special Supplementary Lessons:略称SSL)を開講して、学生の学習支援をおこなっています。1・2年生が対象となる数学と物理のSSLでは、教員だけではなく、上級生もティーチングアシスタントとして加わり、親身に指導します。その結果、出席した学生のほとんどが成績を向上させています。学ぶことの楽しさを経験することが、自主的な学習の習慣を身に付けることにもつながります。
 一方で、高度な数学に興味がある学生のために、「特進数学」が開講されています。難解な問題の解法を研究し、発表したり討論したりすることにより、数学の学力が向上するだけでなく、探究心を深め、コミュニケーション能力を高める効果があります。

特進数学の様子(釧路高専提供)


2 社会実装型の課題解決を目指した実践的授業・演習科目
 授業・実験・実習で学んだことを社会の課題解決につなげる実践的な科目が開講されています。たとえば、4年の必修科目「複合融合演習」では、ある課題の解決に向けて、分野の異なる学生たちがアイデアを出し合い、討論を重ねながら実験や試作を繰り返します。学外から専門家を招いて助言をもらったり、評価をお願いしたりすることもあります。そうした専門分野を横断する実践的な共同研究によって、社会実装の方法を学ぶことはもとより、社会への視野が広がり、他者と協力し合う態度が養われ、「人間力」を高めることができます。
 また、地元食品加工機械メーカーとの「共同教育」科目をとおして、社会実装をより実践的に学ぶこともできます。 

複合融合演習の様子(釧路高専提供)


3 起業につながる科目の開講と工房Otanoshike Baseの新設
 会社を起ち上げ、新たな価値づくりに挑戦する「起業」という進路選択を支援する体制が整いつつあります。「経営学」や「MOT(Management of Technology):技術経営」などの選択科目の開講に加えて、起業家精神(アントレプレナーシップ)育成の拠点として、「起業家工房Otanoshike Base」を新設します。

アントレプレナーシップ講演の様子(釧路高専提供)


「Otanoshike(大楽毛)」は、釧路高専の所在地の名称です。実験や研究の場であることはもちろんのこと、起業家をはじめ企業経営者の方を招いてお話をうかがったり、起業に関する討論をしたりする、開かれたコミュニケーション空間としての活用も期待されています。

【釧路高専へのアクセス】
■釧路空港から
 「釧路市内行」の連絡バスまたは「釧路駅行」の路線バス乗車、「高専前」下車
■JR釧路駅から
 ・7番乗り場 くしろバス「高専行」乗車、「高専前」下車、「白糠高校行」または「音別駅行」乗車、「大楽毛分岐」下車
 ・9番のりば くしろバス「新野団地行」乗車、「大楽毛分岐」下車
 ・15番のりば 阿寒バス「高専行」乗車、「高専前」下車、「阿寒湖温泉行」または「阿寒湖診療所行」乗車、「高専前」下車
■JR大楽毛駅から
 徒歩約15分