【ニュースがわかる2024年8月号】巻頭特集はテーマから探す! ミラクル自由研究

ゆっくりノロノロ 不思議なカタツムリ【ニュース知りたいんジャー】

梅雨になると、活動的になるのがカタツムリ。でもカタツムリの生態って意外と知られていません。ゆっくりのろのろ不思議な生き物のカタツムリ。今年の梅雨はカタツムリ観察に出かけてみるんジャー!【長尾真希子】


◇どういう生き物なの?

 カタツムリは、デンデンムシやマイマイと呼ばれる巻き貝の仲間です。海にいる貝はエラで呼吸をしますが、陸にすむカタツムリは肺で呼吸をします。背中に大きな殻を背負うことで、外敵や乾燥から軟らかい体を守っています。

 日本には現在、約800種類のカタツムリが生息しています。地域によって殻の色や形、殻の渦が右巻きのものや左巻きのものなど多種多様です。多くの種類が雌雄同体といって、体内で精子と卵子の両方を作ります。

 「♪でんでんむしむし かたつむり♪」でおなじみの童謡「かたつむり」にある「つのだせ、やりだせ」の角部分は大触角、やり部分は小触角に当たります。大触角は、長い触角で、先端に目があります。人間のようにはっきりと物を見ることはできず、明るさを感じられる程度です。口元には、小触角があり、においや味を感じることができます。

◇どこにいるの?

 兵庫県の西宮市貝類館の学芸員、高田良二さんに教えてもらいました。

 ジメジメした場所が大好きなカタツムリが活動的になる時期は、梅雨入りした6月中旬から8月にかけて。雨上がりに森林公園や山のふもとの落ち葉や朽ち木の裏を調べてみましょう。「意外に雨上がりの朝や夕方にブロック塀の上をのんびりはっていたりもします。カタツムリの殻をつくる炭酸カルシウムを補給するため、なめに来ているんですよ」

 興味深い話も教えてくれました。カタツムリといえば、アジサイの葉の上にいる、というイメージがありますが、これはカタツムリはアジサイの葉の裏に隠れているだけで、葉っぱを食べるというわけではないそうです。「アジサイの葉っぱには、シアン化合物という毒の成分があるため、カタツムリは絶対に食べません。毒のあるアジサイの葉の下に隠れていると、鳥などの外敵から狙われにくくなる。カタツムリは意外に賢いんです」

◇自由研究のヒントは?

 「食べ物の色によって変わるカタツムリのうんちを調べたり、カタツムリの好物を調べてみては?」と高田さんはオススメします。カタツムリは血液や体液が透明なため、食べた物がそのままうんちの色に反映されます。ニンジンを食べたらオレンジのうんち、貝殻を食べたら、白いうんちをします。では、甘い果物やすっぱいレモンなどは食べるかな。実験してみよう。

 もう少し難易度の高い実験もオススメです。「カタツムリの銅イオンを嫌う性質を利用して、新しい10円硬貨を両側に並べて間に道を作って、歩かせてみるのも面白いかもしれません。道に沿ってきれいに歩く姿を観察できます。また、乾燥を嫌う性質を利用して、ドライヤーをかけると、ドライヤーがかからない方へ移動していく姿を観察するのも面白いです」

 今年の自由研究は早めに準備して、じっくり観察してみては?

◇ナメクジとどう違うの?

 ナメクジは、カタツムリの仲間で、重くかさばる殻を脱ぎ去った、いわばカタツムリの進化形です。背中に硬い殻がないので、落ち葉や植木鉢の下などのわずかなすき間に隠れて乾燥から身を守ることができます。体の基本的な構造は、カタツムリとほぼ同じです。

 だからといって、カタツムリの殻をとったら、ナメクジになるわけではありません。カタツムリの殻の中には、心臓や腸などの内臓が入っています。殻をとってしまうと、カタツムリは死んでしまうので、絶対にとらないようにしましょう。

◇飼い方を教えて!

 市販のプラスチック製ケースの底に、ティッシュペーパーやキッチンペーパーを敷き、エサや木片を置きましょう。エサは、キュウリやキャベツ、レタス、ニンジン、セロリ、イモ類などの野菜を1日1回与えます。カタツムリは新鮮なものが大好きで、しんなりしたものや腐ったものは食べません。カルシウム補給のため、細かく砕いた卵の殻などもオススメです。

 きれい好きなので、ケース内は雑菌が繁殖しないように常に清潔を保ちましょう。湿り気が大好きなので、水分補給のため、ケースに霧吹きをかけてやると、喜んで顔をのぞかせてくれます。

 野生と違って、飼育する場合、年間を通して動くカタツムリを観察することができます。夏は涼しく、冬は暖かな直射日光の当たらない場所で育てると、卵を産んで、赤ちゃんの観察もできるかもしれません。

 ただ、カタツムリは、あまりにほったらかしにすると、ストレスで自分の殻を食べて死んでしまうので、気をつけましょう。カタツムリの飼育は意外に手がかかりますが、高田さんは、「つぶらな瞳やゆっくりした動作がキモかわいくて、癒やされますよ」と教えてくれました。

※写真はアジサイの葉をはい回るカタツムリ=大田市五十猛町で2015年6月3日撮影

2020年06月10日掲載毎日小学生新聞より