種なしブドウや種なしスイカは、種を取る手間がないのでとても食べやすいですよね。でも、種がないと芽が出ないし、増やすこともできないような気がします。一体どうやってつくられているのでしょう。
これらは食べる時に種を取る手間をなくすため、人間が特別に改良して「種なし」にしたものです。普通、果物はめしべに花粉がついて受粉することで種ができ、ごく普通に種のある実ができます。ほおっておけば「種あり」になるのです。
そこで、種をなくすために栽培の途中で人が手を加えます。種なしブドウの場合は、花が咲く前後につぼみを「ジベレリン」という植物ホルモンの液に浸すことで、種がないのに大きくておいしい実がなります。シャインマスカット、デラウェア、ピオーネといった人気のブドウは、このようなとても手間がかかる方法でつくられています。
新しいブドウは、「つぎ木」という方法で増やします。種なしブドウの木の枝を切り取って、「台木(だいぎ)」と呼ぶ別のブドウの苗木とつなぎ合わせて育てるのです。これはもとの品種と同じブドウを作ることができる方法で、種あり・なしに関係なく、ブドウ以外にもカキやモモなど多くの果樹で行われています。
種なしスイカの場合は、2つの方法があります。
一つは、種のある普通のスイカの芽が出たころに「コルヒチン」という植物ホルモンを与える方法です。コルヒチンで処理したスイカのめしべに、種のあるスイカの花粉を受粉させて種をつくり、それを育てると「種なしスイカ」になります。
もう一つは、普通の種ありスイカに「種なし花粉」を受粉する方法です。「種なし花粉」は、種ありスイカの花粉に、X線(えっくすせん)という電磁波の一種をあてて種をつくる機能を低下させたもの。この花粉を使うと、どんな品種のスイカも種なしになるそうです。受粉に手間がかかるためスイカは高価になりますが、日本よりもスイカの人気が高い韓国では、日本のこの特殊な技術を使った種なしスイカが多くつくられています。(編集部)