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懸賞ってなに?【大相撲中継キッズ】

 大相撲の「懸賞」って一体なんなの? 

 国技と言われ、日本の伝統文化でもある相撲。1500年以上前から続く相撲の魅力や素朴な疑問を、「大相撲中継」の編集長である北出幸一さんが答えてくれる「教えて編集長!」。今回のキーワードは「懸賞」です。

Q 編集長、取組前の土俵に呼出しさんが旗を持って出てくるのはなんなの?

A あれはね、幕内の取組の勝ち力士に贈られる懸賞を懸けた企業の名前や商品名が書かれた「懸賞旗」だよ。大きさは横70センチ、縦120センチ。上の部分には木の棒をつけて、下の部分には金色のモールをつけるなど細かなところまで決まっていて、懸賞を出す人が旗を作って日本相撲協会に持ち込む決まりなんだ。懸賞旗が呼出しの手で土俵を回るときに会場には企業や商品の名前がアナウンスされるんだ。アナウンスの原稿は懸賞を出す人が十五字以内で考えて提出するんだよ。ひとつだけ長くならないように公平に扱われているんだ。懸賞は一日一本以上、一場所で15本は懸けなければいけない決まりになっているよ。

Q 編集長、懸賞金はいくらなの?

A いまは日本相撲協会に払われる懸賞が一本で62,000円だよ。ここから協会が事務経費として5,300円を引き、力士の税金にあてるために26,700円を預かるから、力士が実際に土俵の上で受け取るお金は懸賞一本につき三万円だね。勝ち名乗りを受けて懸賞の祝儀袋を受け取るとき、力士は右手で左、右、中央と手刀を切る習わしになっているんだ。以前は決まりがなくてばらばらだったのを、元横綱双葉山の時津風理事長のときに通達を出して統一したんだ。横綱だった朝青龍が左手で手刀を切って祝儀袋を受け取ったことが問題になったりしたね。

Q 編集長、懸賞はいつ始まったの?

A 昭和24年1月からだよ。当時は春場所、夏場所、秋場所の年三場所の時代で、28年から初場所、春場所、夏場所、秋場所の年4場所になり、32年から九州場所が加わって年5場所、33年から名古屋場所が加わって年6場所制のいまの形になったんだ。場所が増えるにつれて懸賞の数も増えて、24年1月に55本だったのが、35年1月には約十倍の532本にまで増えているよ。ことしの初場所15日間の懸賞の総数は1843本だったんだ。

Q いちばん多く懸賞をもらった力士は誰なの?

A 年間の懸賞獲得本数で見ると、平成22年の白鵬が2,111本で史上1位、2位も白鵬で24年の1,990本、3位も白鵬で26年の1,932本だよ。ベストテンまで見ても17年の朝青龍が1,525本で7位に入るだけで、あとはすべて白鵬。ことしの初場所は十日目から三連敗して休場したけど、優勝41回、通算勝星1105勝の史上一位の大記録を達成した白鵬だからできたことだね。22年に白鵬が実際に手にした懸賞金の総額は一本3万円の手取りで計算して6,330万円だよ。ことしの初場所は白鵬279本、髙安200本、豪栄道148本、貴景勝140本、御獄海135本が懸賞金上位五人。取組一番に懸けられた懸賞で最も多かったのが、29年夏場所七日目の稀勢の里と御嶽海戦の61本で、御嶽海を下した稀勢の里が183万円を手にしたんだよ。大相撲の懸賞金って本当にすごいんだね。

Q 懸賞を懸けた取組がなくなったらどうするの?

A 懸賞を懸けた人が決めるんだけど、別の取組に変更されたり、懸賞自体が取りやめになったりするんだ。初場所の白鵬の場合、14日目から休場したから、その日の豪栄道戦に45本の懸賞が懸かっていたけれど、変更が30本、取りやめが15本だったんだ。不戦勝の豪栄道はもらえないんだ。

 大相撲中継(毎日新聞出版)は、2カ月に一度の本場所前に発行されている雑誌で、夏場所号が好評発売中。定価は1,100円。「教えて編集長!」はもちろん、魅力的な企画が盛りだくさんです。ぜひ手に取ってみてください。

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