◆人口から読み解く社会の課題─多様な国の未来と日本の選択
2025年の世界人口は約82億人に達すると予測されており、今後数十年でさらに増加し、2080年代には約103億人でピークを迎える見込みです。
世界人口の増加とランキングの変化に注目すると、かつて最多人口を誇った中国は出生率の低下により減少傾向にあり、2025年にはインドが約14億5400万人で世界1位、中国が約14億500万人で2位となると予測されています。続いてアメリカ、インドネシア、パキスタン、ナイジェリアなどが上位を占め、これらの国々は若年層の割合が高く、今後の経済成長にも大きな影響を与えると考えられています。
一方、日本の人口減少と高齢化の深刻さは、世界の動向とは対照的です。日本の人口は2025年時点で約1億2300万人と推定され、世界ランキングでは12位に位置しています。
しかし、少子高齢化の進行により、今後は順位を下げていくことが予想されます。65歳以上の高齢者が全人口の約30%を占め、合計特殊出生率も1.15(2023年)と人口維持に必要な水準を大きく下回っています。この人口構造の変化は、労働力不足や社会保障制度の維持、地域コミュニティの衰退など、さまざまな社会的課題を引き起こしています。
こうした状況は、世界と日本の人口動態の対照性を浮き彫りにします。アフリカや南アジアの国々では人口が急増しており、若年層が多く、出生率も高い傾向にあります。ナイジェリアやパキスタンなどは、今後数十年で人口が倍増する可能性があり、教育や雇用、インフラ整備などの課題に直面する一方で、豊富な労働力を活かした経済成長が期待されています。
対照的に、日本や韓国、イタリアなどの先進国では出生率が極端に低く、人口減少と高齢化が進行しています。これらの違いは、国際社会における影響力の変化にもつながるでしょう。
こうした人口動態の変化に対して、持続可能な社会への道筋を描くことが急務です。日本では、出生率向上のための支援策や移民政策の見直し、高齢者の社会参加促進など、多角的な対応が求められています。
また、教育の充実や地域活性化を通じて、若者が希望を持てる社会を築くことが重要です。世界全体では、人口増加が環境への負荷を高める一方で、人口ピーク後の安定期には新たな持続可能性の可能性も見えてきます。人口の変化を前向きに捉え、未来に向けた柔軟で包摂的な政策が求められています。

◆中学入試での出題ポイント
出題されるポイントは、(1)人口の変化が社会に与える影響を論理的に考察できるか、(2)世界と日本の対比構造を正確に読み取れるか――の2点です。
(1)中学入試では、人口の増減が社会にどのような影響を与えるかを論理的に考える力が求められます。
人口が増える国では、教育・医療・住宅・食料などの需要が急激に高まり、政府はそれらを整えるための政策を急いで進める必要があります。特に若年層が多い国では、学校の数や教員の確保、就職先の整備などが大きな課題となります。
一方、人口が減る国では、働く人の数が減ることで経済活動が縮小し、税収が減るため、年金や医療などの社会保障制度の維持が難しくなります。高齢者が増えることで介護の人手も足りなくなり、地域の活力が失われることもあります。このように、人口の変化は社会のしくみや人々の暮らしに深く関わっており、単なる数字の増減ではなく、複雑な社会課題とつながっています。
中学入試では、こうした因果関係を読み取り、自分の考えを根拠とともに述べる力が問われます。たとえば、「人口が減少することで日本社会にどのような影響があるか」「人口が増加する国ではどんな課題が生じるか」といった記述問題が出されることがあります。
また、「日本ではなぜ出生率の低下が問題になっているのか」「人口減少に対してどのような対策が必要か」といった問いでは、文章や図表をふまえながら、自分の意見を論理的に展開する力が求められます。
こうした問題では、「何が、なぜ、どうなるか」という因果の流れを意識して説明することが重要です。単なる暗記ではなく、社会のしくみを理解し、自分の言葉で考察できるかどうかが、合否を分ける力になります。
(2)中学入試では、文章に描かれた「世界」と「日本」の人口動態の違いを、客観的に整理・比較する力が求められます。
世界では人口が増加しており、インドやナイジェリアなどの国々では若年層が多く、今後の経済成長が期待されています。一方、日本では出生率が低く、人口減少と高齢化が進んでいます。こうした対照的な状況を、文章や図表の事実や構造に基づいて読み取る力が重要です。
たとえば、「インドと日本の人口構造の違いを説明しなさい」「人口増加国と人口減少国の課題をそれぞれ挙げなさい」といった記述問題では、文章や図表に示された情報をもとに、自分の言葉で客観的にまとめる力が問われます。また、選択問題では、対比されている内容を正しく分類できるかがポイントになります。
こうした問題では、文章の構造(対比・分類)を意識しながら、複数の段落にまたがる情報を整理する読解力が求められます。
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