国立天文台のホームページで公開されている「ほしぞら情報」によると、11月12日は「おうし座北流星群」が、18日には「しし座流星群」が活動のピークを迎えるそうです。
どちらも予測される観測数は1時間に2、3個と決して多いとは言えない数かもしれませんが、夜空を眺めていれば流れ星を見ることができるかもしれません。
流星観測を楽しむために、まずやっておくべきこと、用意すべきものは何かご存じですか?
そこで、以前もご紹介した国立天文台准教授の縣秀彦さんの著書『面白くて眠れなくなる天文学』(PHP研究所)から「流れ星を見る方法」についてご紹介します。
流れ星を見る方法を具体的に説明しましょう。流星観察では望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。望遠鏡や双眼鏡を使うと見える範囲が狭くなってしまうため、一般の人の流星観察には適さないのです。肉眼で観察しましょう。
まず、屋外に出てから暗さに目が慣れるまで、最低でも15分間は観察を続けるようにします。人間の目の瞳孔(どうこう)は明るいところで小さく、暗いところで大きくなりますが、順応には時間が必要です。個人差がありますが、10分以上、地上の明るい光源(水銀灯やネオンサインのような街明かり、車のヘッドライトなど)が直接、目に入ってこないようにして目の感度を上げておきます。
次に、流れ星が空のどこを飛ぶかは予測がつきません。群流星(ぐんりゅうせい)の場合も、必ず放射点のある星座の近くで見えるわけではないので、見上げる位置を気にする必要はありません。ネオンのある場所、あるいは明るい月のある方角は避けたほうが見やすくなります。
群流星の場合、放射点近くでは、こちらに向かって飛んでくるため、ゆっくりとした動きで短い経路のみ輝きます。一方、 放射点から離れたところでは、素早い動き長い線を引いて輝きます。したがって、放射点の位置を確認できれば、どちらの方向からどちらに向かって、どれくらいのスピードで群流星が流れるかを予想することもできます。
風邪をひかないための防寒対策をしっかり行い、リラックスした姿勢で、無理せず楽しんでください。
紹介した本はコチラ
タイトル:
面白くて眠れなくなる天文学
(PHP文庫)
著者:縣秀彦
出版社:PHP研究所
定価:825円
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著者プロフィール
縣秀彦(あがた・ひでひこ)
1961年長野県生まれ。国際天文学連合(IAU)・国際普及室スーパーバイザー、大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台・准教授。総合研究大学院大学・准教授、宙ツーリズム推進協議会・代表、信濃大町観光大使、日本文藝家協会会員ほか。
東京学芸大学大学院修了(教育学博士)。東京大学教育学部附属中・高等学校教諭等を経て、現職。『怖くて眠れなくなる天文学』(PHPエディターズ・グループ)、『地球外生命は存在する! 』(幻冬舎)、『星の王子さまの天文ノート』(河出書房新社)、『日本の星空ツーリズム』(緑書房)、『ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか』(経済法令研究会)など多数の著作物を発表。2000年よりNHK高校講座(「地学基礎」など)、2009年よりNHKラジオ深夜便(「ようこそ宇宙へ」など)に出演中。