10代のうちに強くする! 骨のチカラ【月刊ニュースがわかる5月号】

スクールエコノミスト2024 WEB【芝浦工業大学附属中学校】

自走できる探究者を目指す「総合探究」

 「GC」の総仕上げは、中3の海外教育旅行だ。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を主軸に据え、人種や宗教、ジェンダーなどについて学ぶ。アメリカのシアトル、ソルトレイクシティ、セントジョージ、デンバーの4コースを設定し、グローバルな環境下でそれぞれの探究を深めていく。

 中3の秋以降、「総合探究」の学びを開始。数学科・探究科の金森千春教諭は「ここまでにPBLの経験を積んでいるので、生徒自らで展開していけるだけの力が十分についている」と語る。まずは個々の生徒で探究計画書を作成し、興味や関心が重なる生徒同士でチームを結成。改めてチームで問いを立て、活動を行っていく。

 調べ物をするときは必ず複数の情報源にあたる、ポスターや論文など、成果の発表は最適な方法を選択するなど、リサーチやアウトプットの作法も学習。さらには有識者や当事者へのインタビューも必須にしており、アポ取りも生徒自身が行う。「総合探究での経験をベースに、高校段階で自走できる探究者を育てることが狙いだ。

 「過疎地を若者が移住したくなる地域にするには」「同じスポーツで義足の選手と健常者の選手の記録は公平か」「3Dプリンタで耐震基準を満たした住宅をデザインする」「AIロボットで人手不足を解決できるか」など、テーマは実に多彩だ。

授業第一主義を掲げ、自立学習を促す

 同校では教科書の先取り学習をせず、中学では主要5教科の授業時間数を各4コマに設定している。学習のベースとなる授業の密度を高めるとともに、生徒が主体的・効果的に勉強を進める同校独自の授業「SD(Self Development:自立学習)」を展開。中1・2で週2コマ、中3では週3コマをカリキュラムに組み込んでいる。金森教諭は語る。「先取りしたからといって知識が定着するわけではない。学びは本来、生徒自らが獲得するものであるべき。カリキュラムを見直す際、教員同士で何度も議論を交わしました。SDの導入は、従来の『教え込む』という考え方が変容した結果です」。

 SDでは、生徒自身で何に取り組むべきかを考え、自分の学びをデザイン。宿題をする時間にあてる生徒、復習や応用問題に挑戦する生徒、プレゼン資料の作成や英検の準備学習など、自ら学び進めている。SDを導入したことで自学自習の姿勢が身につき、学力の底上げにもつながった。

 卒業後は約8割の生徒が理系学部に進学している。高2からは、主に芝浦工業大学への推薦進学を目指す「一般理系コース」、国公立大や難関私大の理系学部を目指す「特別理系コース」、上位大学の文系学部を目指す「文系コース」の3コース編成となり、近年は国公立・難関私大への合格者をコンスタントに輩出。大学進学というルートに捉われず、6年間で積み上げてきた実践力と創造性を発揮し、高校卒業後すぐ起業した生徒もいる。斎藤貢市教頭は語る。「本校の教育は大学合格がゴールではなく、生徒が社会に出てからいかにして自分の力を発揮し、喜びを感じられるようにするかに重きを置いている。社会課題に立ち向かう勇気やものづくりへの気概を育むことを何よりも大切にしています」。

所在地       〒135-8139 東京都江東区豊洲6-2-7

TEL         03-3520-8501

学校公式サイト   https://www.fzk.shibaura-it.ac.jp

海外進学支援    有

帰国生入試     有

アクセス

豊洲駅(東京メトロ有楽町線)徒歩7分

新豊洲駅(ゆりかもめ)徒歩1分

国内外大学合格実績(過去3年間)

芝浦工業、東京工業、東北、筑波、東京農工、信州、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科など