【ニュースがわかる2024年7月号】巻頭特集は「沸騰」する地球の未来

スクールエコノミスト2024 WEB【桐朋女子中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は桐朋女子中学校を紹介します。

考察と分析で導き出された考えを説得力のある言葉で表現する力を育成

<注目ポイント>

①自らの目で見て、分析する力を養う「社会科見学」

②わかりやすく伝え、話す力を鍛える「発表学習」

③大学進学の準備にも役立つ「総合社会特講」

中学の集大成となるレポート作成

 Learning by Doing──。実践や経験を重んじる桐朋女子中学校・高等学校では、自らの目で見て考え、分析する姿勢の育成を重視している。

 中学の社会科では「本物に触れる」ことを大切にし、各学年で年1~2回、社会科見学の機会を設けている。中1では、学校周辺のエリアや都心を見学し、中2では、歴史に関連する博物館などを見学する。中3では裁判所や国会、豊洲市場、ユニセフなど複数のコースを設定し、各自が興味のあるジャンルを選んで見学する。見学後は、400字詰めで8~15枚のレポートを提出する。レポートは、研究報告としての体裁を整える必要があるため、単なる調べ学習に留まらない深い考察と分析が必要になるという。

 「大切なことは、1つのテーマを決めて十分に調べ、自分なりに考察することです」と社会科の菊川彩香教諭。「たとえばチョコレート工場の見学で、チョコレートの作り方や効用を書くだけではレポートとは言えません。商品開発の工夫と問題点というテーマであれば、他の製菓会社の製品とどのような差別化を行っているかも比較・考察する必要があります。大切なのは調べることではなく、調べた結果、自分はどう考えたのかをまとめることなのです。そのためにも事前に構想をしっかり練ることが重要です」。

「本物に触れる」ことを目的とした社会科見学で深い考察力と分析力を養う

15分間の持ち時間で話す力を養成

 こうしたレポートを経て、自ら問いを立て、論理的に考え、書く力を身につけていく生徒たち。高2の公共では、現代社会における様々なテーマを生徒2人で調べてレポートを作成し、クラスメートの前で15分間の発表を行う「発表学習」に取り組む。

 用意されたテーマは全部で16あり、環境、社会保障、人権、労働、人口、エネルギー、食料などジャンルは多岐にわたる。具体的には、「年金制度や介護保険制度にはどんな課題があるのか?」「難民問題をどうすれば解決できるのか?」「EUの経済統合は他の経済統合とどんな違いがあるのか?」「人間はどのように発達し、成長するのか?」などがある。テーマが決まった生徒は、骨子をまとめたレジュメを作成し、教員のアドバイスで構成を固める。さらに書籍や公的機関のサイトの情報を中心に調べ学習を行い、確かな根拠をもとに説得力のある発表に仕上げていく。生徒たちはパワーポイントや動画を駆使し、発表方法にも様々な工夫を凝らしているという。

「これまで受け身だった姿勢が一転し、自ら教える立場になることで、モチベーションが高まるようです」と社会科の天野彩教諭。実際、社会科が苦手な子が興味のあるテーマに意欲的に取り組み、高いレベルの発表を行うこともあるという。「本校では数十年前から発表学習を重視しており、これが主体的に学ぶ姿勢につながっています。子どもたちの生活は今やメールやSNS、ネットが中心になっています。普通の人が情報の発信者にもなり得る時代ですが、一方で言葉を使いこなす訓練は足りていません。だからこそ、表現活動を支える“ことばの力”を強化することが大きな命題でもあります」と天野教諭は力を込める。