【ニュースがわかる2024年8月号】巻頭特集はテーマから探す! ミラクル自由研究

スクールエコノミスト2024 WEB【法政大学中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は法政大学中学校を紹介します。

世界史教育への仮説実験授業の導入で、現代社会を見極める力が飛躍的に向上

<注目ポイント>

①人とつながり社会の課題と向き合う「自由を生き抜く実践知」の体得。

②「調べ学習」によって歴史を多角的に探究、他者との共存を学ぶ。

③世界で起きる事象について問題意識をもち、自ら判断する力を養う。

フランス革命の「調べ学習」で思考訓練

 法政大学の付属校として、「自主・自律」の精神を掲げ、主体性のある人間を育む教育を行っている法政中学高等学校。対話を大事にする風通しのよい環境で、生徒たちは人とつながりながら様々な課題を考える経験を積む。法政大学が教育目標とする「自由を生き抜く実践知」を身につける学びであり、その取り組みは中学時代から始まる。

 身近な事象から社会問題まで、課題と向き合い解決方法を探るための実践的な教育方法として取り入れているのが、中学の各学年で行う「調べ学習」だ。「国内外の社会課題を他人事でなく自分事として考え、自分にできることを実行する主体的な人間を育成することは、本校に課されている使命のひとつ」と社会科教諭は調べ学習が目指すものを示した。将来、大学で研究を深める際に必要となる基本的なスキルや調べ方のノウハウを、早い段階で習得する狙いもある。

 調べ学習においてとりわけ担う役割が大きいのは、幅広い課題をもつ社会科だ。この教諭がその教育プランとして、中1から導入しているのが、板倉聖宜博士が提唱した仮説実験授業。「授業書」と呼ばれる独自の教材を使う教育方法だ。授業の流れは、①問いに対する様々な視点の選択肢から答えを選ぶ、②仮説を立て、資料を調査しグループで実験、③グループごとに成果を発表し、答えを検証、④授業の振り返り、各自の意見表明、といった取り組みが基本となる。ある授業では、この方法によって、スパルタクスの反乱について検証した。実験と検証のプロセスを繰り返すことで知識が深まり、自信もつく。未知の問題に挑戦しようという積極性にもつながっていく。

 立場による考えの違いについて検証することも、複雑な歴史を理解するうえで極めて有効な学習方法だ。中3の授業では、「フランス革命」をテーマに、調べ学習を行った。歴史的事件であると同時に、「人権」に関する様々な問題を提起するフランス革命は、歴史と公民を2時間ずつ並行して学ぶ中3生にとって、格好のテーマといえるだろう。まず通史学習を行ったあと、9つのグループが聖職者、貴族、ブルジョワジー、中流市民などから階級を選択、人権宣言やルイ16世の処刑など4つの場面に関して、それぞれの立場での行動や主張を考え、話し合った結果をまとめてプレゼンをする。正解はないが、7時間に及ぶディスカッションは、利害が衝突する世界で、平和的に共存する方法を模索する、貴重な機会となることは間違いない。

調べ学習でのグループワークの様子

現在の戦争を当事者の視線で探究

 教科書に縛られず、世界で進行中の出来事を扱えるのも、調べ学習の長所だ。例えば2022年4〜5月、中2の授業でウクライナ戦争をとりあげた。「世界史的にも大事件であり、その背景を学ぶ意味がある。生徒たちに、自分たちで調べ、検証させたいと考えた」と社会科教諭はその意義を説いた。留意したのは、ウクライナ、ロシア両国の一方を偏重するのではなく、双方について公平に調査を行うこと。導入として、先輩が両国の大使館を訪問し自らのメッセージを発信している動画を見せたことも、生徒たちの心構えの変化につながった。学習のプロセスは、ウクライナの歴史を知る事前学習を経て、グループ別に提示されたテーマに関する調査、さらにパワーポイントによるプレゼンへと展開。最後は、自分の意見をまとめるほかに、当事者への「手紙」を書くという課題に取り組んだ。プーチン大統領を相手に選んだ生徒は、「もしあなたがロシア系住民を救おうとして戦争を始めたのなら、自国の未来ある若い兵士も殺しています」と、戦争の意味を問い、停戦を求める手紙を綴っている。

 「国家間で対立が続いても、市民レベルの交流で対立を乗り越えられることがある」と社会科教諭。現在の事象を探究することで当事者意識をもって考える。まさに社会の課題と向き合う人格を形成することに通じると、生徒たちの未来に期待を寄せる。

所在地       〒181-0002 東京都三鷹市牟礼4-3-1

TEL         0422-79-6230

学校公式サイト   https://www.hosei.ed.jp

海外進学支援    

帰国生入試     

アクセス

井の頭公園駅(京王井の頭線)徒歩12分

三鷹駅(JR中央線)・久我山駅(京王井の頭線)よりバス「西ヶ原」下車徒歩5分

調布駅(京王線)よりバス「下連雀」下車徒歩12分

国内外大学合格実績(過去3年間)

法政、京都、北海道、筑波、東京海洋、東京都立、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科、明治、青山学院、立教、中央、学習院、立命館、埼玉医科、東京薬科、昭和薬科、武蔵野美術など