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スクールエコノミスト2024 WEB【 清心女子高等学校(通信制)編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は特別編として、通信制高校の清心女子高等学校を紹介します。

生徒一人ひとりに合わせた教育で、「自分らしさ」の花を咲かせる

<注目ポイント>

 私立通信制高校として56年目の歴史を誇る清心高等学校。その経験を基盤としながらも、生徒を取り巻く社会の変化、心の問題をいち早く察知し、生徒にとって何がベストなのかを常に模索し、改革に取り組み続けている。

すべての国民に教育を受ける機会と権利を

 『すべての国民は女子といえども、常に、いつでも教育を受ける機会と権利が与えられなければならない』を建学の精神として掲げる清心女子高等学校。その歴史は、横浜を世界有数の国際都市として確立した横浜財界のリーダーであり教育人でもあった大谷嘉兵衛の孫・大谷高子が1947年に横浜ドレスメーカー女学院を設立したことに始まる。戦後の混乱期において「女性の生活向上こそが新生日本創造の基本である」が高子の信念だ。高度成長期、京浜地区には地方出身の中卒者や、病気や経済的理由で高等教育の機会を逃した女性が多くいた。そうした女性たちが通信制課程の特色を生かして高校卒業資格が得られるように、高子が20数名の教職員と共に1968年に創立したのが同校だ。私立として全国で2校目の通信制高校の創立は、当時の新聞紙面を大きく飾ったという。

清心女子高等学校 三浦成子校長

週1〜5日の登校スタイル

 同校で最も大切にするのは、生徒一人ひとりが自ら選択し、自分らしく学ぶことだ。「高校時代は自分とは何か、将来とは何か、と自らに問い続ける自分探しの時期だが、中には道に迷う子どももいる。それでも本校で過ごす中で、ゆっくりと時間をかけて自らを創り上げていけばいい」と三浦成子校長。そんな同校の大きな特徴が、2021年度から改革を行なった生徒自らが選択する登校スタイルだろう。自分のペースに合わせて登校日数を、週1日〜5日まで選択できる。生徒の中にはダンスやスポーツなどの外部クラブに所属し、その時間をできるだけ増やしたいと登校日数を減らすケースもある。

 その一方で中学時代に不登校や別室登校経験者も少なくない。「登校しないことは悪いことではなく、一人ひとりのペースを尊重することがとても大切」と三浦校長は力を込めて語る。その言葉通り、生徒のペースに合わせた登校スタイルの選択が『すべての国民への学びの機会と提供』という建学の精神の実践に大きく寄与していることは間違いない。