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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

【#地球塾2050】水素が作る新しい世界 H2CI くにうみアジア

 水素は脱炭素社会を実現するためのカギです。カナダのジャンクロード・テシエ博士(応用科学)は量子力学を応用した高効率水素製造装置を作り出し、少ない電力で大量の水素を生産できるようにしました。二酸化炭素の削減に貢献し、作った水素は圧縮・貯蔵して他国に運搬できます。水素の用途は幅広く、エネルギー、食料、人間の健康にも役立ちます。テシエ博士と一緒に合弁会社「H2CIくにうみアジア」(カナダ)を設立し、世界に残るさまざまな社会課題を解決しようとしている山﨑養世さんが、芝浦工業大学柏中学校の生徒29人に、水素が作る新しい世界について語りました。【大谷麻由美】

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◆ナノバイオ・エレクトライザーとは

テシエ博士(写真左)と山﨑養世さん(写真右)。机の上に置かれている装置がナノバイオ・エレクトライザー。

 テシエ博士による水素製造装置「ナノバイオ・エレクトライザー」は、これまでの水の電気分解と比べて、必要な電力はわずか48分の1で、燃料電池で作り出される電力は約20倍と超効率的! 作られた水素は、純粋な炭素で作ったタンクに圧縮・貯蔵して運搬もできます。 

★ナノバイオ・エレクトロライザーの仕組み

(1)電気を電磁パルスに変換する

(2)電磁パルスによって、黄色の箱の中で水が水素と酸素に分解される

(3)水素と酸素がそれぞれ細いホースで燃料電池に送り込まれる

(4)燃料電池で水素と酸素が再び結合すると、電力と水蒸気ができる

(5)電力でプロペラが回る、水蒸気は(2)に戻る。再び(1)~(5)を繰り返す

◆水素ってなんだ?

 宇宙の原子の約90%、全物質の質量の約70%を占める宇宙で一番豊富な元素だ。水素はいろんな元素と結合して化合物の状態で存在している。化石燃料やアルコール、下水汚泥、廃プラスチックといった多様な資源から水素を生成できる。

◆水素の活用

 エネルギー、食料、水が人類に行き渡れば、平等で安定した社会になります。

●人のからだの抗酸化作用……からだの中をさび付かせない(酸化させない)ようにすることで、老化や生活習慣病の予防になります。

●光合成の効率化……植物の光合成は、水と二酸化炭素と光から、酸素と活動のエネルギー源となる炭水化物をつくり出す活動です。水素を効果的に活用することで、光合成の効率化が図れます。

●食品の長期保存……空気中の酸素などによって腐敗するのを防ぐため、水素を満たした袋に食品を入れます。

●水素エネルギーの家、車、電車、船

◆皆さんの声

佐々木歌英さんと尾崎美音さん(3年)……電磁波を与え水を水素と酸素に分解し、再結合して水とエネルギーを得ると、最初の水に比べて最後に得た水の量は減ると考えましたが、結果はどうなるのか知りたいです。

有賀司さん(3年)……水の電気分解と再結合でずっと循環し続ける中で、最初に電気分解で使った電力の何十倍ものエネルギーが生まれるなんてすごいです。

*「#地球塾2050」は、地球の未来をデザインする企業と、2050年に社会の中核を担う中学・高校生を結びます。

 


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水素の可能性について考える芝浦工業大学柏中学校の生徒たち


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