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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

気になる数字「2500ドル」 
死命制する半導体

週刊エコノミスト編集部が執筆する毎日小学生新聞「15歳のニュース」内コラム「これって経済? 」は、経済にまつわる数字を解説します。

今回の気になる数字は「2500ドル」。米EV専業メーカーのテスラがEVで使われる1台当たりの金額です。1台当たり平均550㌦の半導体が搭載されているガソリン車と比べ、4倍以上です。理由はガソリン車と比べ高性能なものを多く使用することもあるそうですが、それだけではなさそうです。くわしくみてみましょう。

 2020年の新型コロナの感染拡大を機に、世界的な半導体不足が話題になりました。

 自動車業界も影響を受けました。人気車種によっては、注文から納車まで1年以上待たされるのは当たり前に。

 現代のクルマには、エンジンやブレーキなどの制御に使われる「マイコン」や「プロセッサー」をはじめ、さまざまな半導体が使われています。ガソリン車では1台当たり平均で550㌦の半導体が搭載されている。

 しかし、新型コロナの感染拡大により、世界中の半導体工場が閉鎖されたほか、部材の供給網も混乱したため、半導体が手に入らなくなってしまいました。

 その後、コロナの影響は緩和されてきましたが、今度は米中の対立で、米国が世界の自動車メーカーに中国製半導体の使用を規制したために、半導体不足はなかなか解消されていません。

 今後、新たな需給逼迫要因になると予想されているのが、エンジン車から電気自動車(EV)へのシフトです。

 EVはモーターを動かすために、直流の電気を交流に変えたりする「パワー半導体」を使うほか、自動運転のための「センサー」も多用します。また、マイコンやプロセッサー自体もより高性能なものが必要になるため、EVで使われる半導体は1台当たり1600㌦と3倍に。米EV専業メーカーのテスラでは、1台当たり2500㌦に上るという。自動車メーカーにとっては半導体の入手が死命を制する事態となっています

(「15歳のニュース」 22年12月10日掲載より)


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