ペダル付き電動バイク「モペット」をはじめとした新たなモビリティー(移動手段)が人気を集めています。電車やバスなどの公共交通機関ではたどりつくのが難しい目的地までの「ラストワンマイル(最後の一区間)」を埋める乗り物として、若者を中心に利用が広がっています。ただ、交通ルールを無視した悪質な運転が後を絶ちません。安全のために私たちが知っておきたいことをまとめました。
「モペット」は、ペダル付き電動バイクのことです。見た目は電動アシスト自転車に似ていますが、ペダルをこがなくてもモーターだけで走行できるのが特徴です。ただ、便利さの一方、自転車と勘違いするなど交通ルールを正しく理解していない利用者がおり、交通違反や事故が相次いでいます。
モペットにはどんなルールがあるのでしょうか。まず、道路交通法の分類では最高時速が20キロメートルを超える車種の場合、原付きバイクやオートバイと同じように扱われます。
原付きバイクと同じ扱いということは、運転免許が必要です。ナンバープレートやヘルメットなどの装備も義務づけられています。事故を起こしたときに被害者へお金を支払う自動車損害賠償責任保険(共済)にも加入しなければいけません。歩道の走行も禁じられています。ただ、こうしたルールが守られず「走る凶器」になっているとの指摘もあります。

街中に設置されたLUUPのポート=北九州市小倉北区で2024年10月29日
最高時速が20キロメートル以下の車種は「特定小型原動機付き自転車(特定小型)」に分類されます。基準を満たす電動キックスケーターは、これに当たります。
電動キックスケーターは、ナンバープレートの申請は必要ですが、運転免許は不要です。16歳以上なら乗ることができます。特定小型の場合、基本的にペダルはついていません。利用者は、自分が乗る車種がどの分類に当たるのかを、きちんと確認する必要がありますね。
国の役所・警察庁によると、2022年に96件だった違反件数は2023年に345件に増加しました。2024年は2538件で、この2年間で約26倍に急増しています。
2024年は、ナンバープレートの未設置(778件》、無免許運転(526件)、ヘルメットの未着用(505件)――の違反が多かったようです。
大阪市にある繁華街・ミナミでは2025年8月、モペットが歩行者専用道路に進入して暴走する事件がありました。けが人はいませんでしたが、逮捕された運転手の20代男性は無免許で、ヘルメットやナンバープレートもつけていませんでした。男性は警察に「自転車だと思い、免許が必要だとは思わなかった」と話したそうです。
モペットの歴史は意外に古いんです。自転車の歴史に詳しい「自転車文化センター」(東京都)によると、「モーター」と「ペダル」が語源とされ、正式にはモペッドと呼ばれています。
ヨーロッパでは、第二次世界大戦の前に小型エンジン付きの自転車が登場し、これがモペットの起源とされています。日本では戦後から1950年代にかけて、自転車に後付けのエンジンを取り付けた「原動機付き自転車」が流行しました。
それ以降も大手メーカーから電動モーターが付いた自転車が発売されました。ただ、オートバイなどの普及から売れ行きは低調だったそうです。
モペットが新たな移動手段として注目を集めたきっかけは、新型コロナウイルスの流行でした。利用者で密になりやすい公共交通機関の代わりの手段として、一気に利用が広がったとされています。
国は2024年の改正道路交通法で、モペットが原付きバイクやオートバイに該当すると法律で定めました。それまでは警察庁の通達に基づき原付きとされてきましたが、一層ルールを徹底するため法律に明記しました。
一方、違法運転の取り締まりは、追いついていません。そこで警察は、モペットを販売する店側の摘発にも乗り出しています。
大阪府警察は2025年6月、モペット販売店の店主ら4人を道路交通法違反(整備不良や無免許運転など)ほう助の疑いで逮捕しました(ほう助は手助けするという意味)。この店舗は、客が無免許だと認識しながらモペットを販売していました。違法運転を食い止めるために、売る側にも責任を求めた形です。
交通ルールを守ることは、自分だけでなく家族や友達など周りの人の安全を守ることにもつながります。私たちのモラルが求められています。
(2026年1月14日毎日小学生新聞より)
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