クリスマスシーズンが始まりました。日本でもクリスマスは一大行事となっていますね。世界ではどんなクリスマスが行われているのでしょう? みなさんはどんなクリスマスを過ごしますか? クリスマスの起源や、お祝いの習慣の歴史をたどってみました。
クリスマスは、もともとキリスト教徒のお祝いから始まった宗教的な伝統行事です。12月25日はイエス・キリストが誕生したことを祝う日ですが、じつは、新約聖書にはキリストの生まれた日が、はっきり書かれていません。そのためクリスマスはキリストの誕生日ではなく、「キリストが生まれてきたことをお祝いする日」とされています。
英語の「Christmas(クリスマス)」は、「Christ(キリスト)」と「Mass(ミサ、礼拝)」を組み合わせた言葉です。「Xmas」などと書かれることがありますが、このXはギリシャ語でキリストを表す言葉です。
12月24日をクリスマスイブ(クリスマスの前夜)、25日をクリスマスと呼びますが、「どちらもクリスマス」です。昔のヨーロッパでは一日のはじまりを「日が沈む時」と考えていました。「12月24日の日没から12月25日の日没」までがクリスマス当日とされていたのです。
キリスト教徒が多いヨーロッパやアメリカなどでは、一年の中で最も重要な日とされています。日本のお正月と同じような伝統行事だからです。クリスマスは祝日で、ほとんどの店が休みになり、家族と一緒に過ごします。クリスマスの特別な料理を作って食べたり、プレゼントの交換をしたりします。多くの会社や学校は、クリスマス前後の約2週間がクリスマス休暇となります。
ヨーロッパやアメリカなどでは、11月の最終日曜日から、クリスマスシーズンが本格的に始まります。この期間のことを「アドベント(待降節)」と呼び、街中にイルミネーションがともり、関連グッズを扱うお店が増え始めます。
中でもドイツのクリスマスマーケットの歴史は古く、14~15世紀に食料やクリスマスに関連した日用品を売る市場から始まりました。次第に今のように、木製の小屋の露店が集まる形になり、クリスマスツリーの飾りや食べ物などを売る店がびっしりと並び、夜までにぎわいます。ツリーを飾る習慣もドイツが最初です。
日本のクリスマスの集いは、戦国時代の1552年に今の山口県で行われた「降誕祭」が最初とされています。1567年には堺(今の大阪府)でミサが開かれ、敵味方同士が一緒に集った「クリスマス休戦」があったことを宣教師のルイス・フロイスが書いています。しかしその後、徳川幕府によるキリスト教禁止令でクリスマスの催しはできなくなりました。
明治時代にクリスマスが復活すると、宗教的行事としてよりも商業的なクリスマスが広まっていきました。現在の日本はクリスマスが休日ではない国ですが、1927(昭和2)~1947(同22)年の21年間、クリスマスの日が休日となった期間があります。1926年の12月25日に大正天皇が亡くなり、大正天皇祭(休日)と定められたのがきっかけです。
昭和時代にはデパートでクリスマス商戦が盛んになり、クリスマスイブやクリスマスを恋人や友人たちと過ごすイベントになっていきます。イルミネーションやプレゼントも一般に広まりました。

東京ディズニーランドのクリスマスの新しいパレードでパフォーマンスするサンタクロース=千葉県浦安市で11月10日
日本で「サンタ」として親しまれているサンタクロースは、4世紀にいたとされるキリスト教の聖人セント・ニコラウスのことです。ニコラウスの伝説は18世紀に入ってヨーロッパ各地に伝わり、現代になってプレゼントを子どもたちに配る明るく愛される存在へと変わっていきました。今では、世界中の良い子にプレゼントを置いていってくれる人として、広く知られる人気者です。
現在、国際サンタクロース協会に認定された「公認サンタクロース」が世界中に約120人います。日本人ではパラダイス山元さんが、この一人です。公認サンタクロースたちは、毎年7月に集まる「世界サンタクロース会議」に参加したり、福祉施設や小児病院でボランティアをしたりしています。
日本で広まったのは、菓子メーカー「不二家」の藤井林右衛門さんが、アメリカで見たイチゴのショートケーキを参考に、1922年に発売したのがきっかけといわれます。今の日本ではさまざまなクリスマスケーキがありますが、ヨーロッパ各国には伝統的なクリスマスケーキがあります。
イギリスでは、「クリスマスプディング」と呼ばれる濃厚な味のケーキが、クリスマスの5週間前から作られます。これはドライフルーツ、ナッツ、スパイスなどを混ぜて蒸したものです。クリスマス当日に蒸して温め直し、切り分けて配る前に火をつけてフランベする(燃やす)のが伝統的な食べ方です。
ドイツの「シュトレン」は、ナッツやドライフルーツがたっぷり入った発酵菓子です。クリスマスまでのアドベントの期間(約4週間)に毎日少しずつスライスして食べるのが伝統です。
そのほか、フランスでは、木の切り株の形をしたロールケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」、イタリアでは、オレンジピールやレーズンなどのドライフルーツを混ぜて焼いた菓子パン「パネトーネ」など、クリスマスには決まったスイーツが食べられています。
(2025年12月3日毎日小学生新聞より)
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