現代の科学では、日時や場所を特定して地震の発生を予測することはできません。ただ過去の大地震から知っておきたい情報は多数あります。50年以上、災害や危機管理の研究をしている河田恵昭さんに、これまでの大地震から学ぶべきこと、災害から命を守る知恵や習慣を教えてもらいました。(「Newsがわかる2025年9月号」より)
2011年3月の東日本大震災では、直後に約1万6000人が亡くなりました。巨大な津波に襲われたからです。現地調査をした結果、最初に津波が到達した岩手県の沿岸部で、地震の発生から津波の到達まで約30分あった。すぐに高台などに逃げていれば、多くの人が助かっていたはずです。
岩手、宮城、福島3県の津波で水につかった沿岸部には、およそ57万人が住んでいました。実はそのうちの27%が避難しなかったのです。
つまり、東日本大震災では「逃げなくても大丈夫」という思い込みから逃げなかった人が大勢いた。この事実をきちんと理解しないと、同じことが繰り返されます。そうならないよう過去の災害を正しく知り、「自分ごと」として向き合ってほしいのです。

◆外出するときはその日の詳しい予定を家族に伝えよう
休日などに友だちと外出する時は、行き先や何時ごろ帰るかなどの所在情報を家族にできるだけくわしく伝えるようにしましょう。地震が起こると、安否確認が一番の課題になるので、君がどこにいるのか家族が苦労せずに確認できることが大事です。
例えば、南海トラフ巨大地震が起こったら、交通機関はすべて止まり、携帯電話は使えなくなります。こうした状況を頭に入れながら、外出先から家まで歩いて帰る経路を考えることも防災なのです。

◆防災グッズはすっ飛んでいかないようにひもでくくりつけよう
寝室にめざまし時計と懐中電灯、ラジオを常に置き、非常時に持ち出せるようにしています。
この三つは、寝ているすぐそばの窓のカーテンレールに太いひもでしばってあるのです。なぜかというと、もし大地震が襲ってきたら、ただ置いてあるだけでは、激しい揺れですっ飛んでいってしまうから。その点、ひもでしばっておけば、手にできます。防災バッグを用意して満足するのではなく、非常時に使えるか、持ち出せるかがカギになります。

◆ミニ救急セットのポーチを持ち歩こう
もう一つは、いつも持ち歩くリュックサックに小さなポーチを必ず入れています。その中には、当面必要な薬、抗菌目薬、軟こう、キズテープ、鎮痛剤(痛み止め)を常備しているのです。もし、災害時にけがをしたら、抗菌目薬で傷口を消毒できるのはもちろん、日常的にも使えますよね。
こうやって災害時でも、日常生活でも、役に立つことを習慣にできたら、しめたもんなんだよ! つまり、防災って、習慣化できたら、ものすごくうまくいくんだよね。

◆その他の習慣にするといいアクション
電車に乗る前に必ずトイレに行くこと! もし、電車に乗っている時に地震が起こったら、電車が止まって何時間も閉じ込められてトイレに行けなくなってしまいます。
また、ぼくは新幹線など、長時間乗り物に乗る時は、必ず弁当と飲み物を買って乗っています。災害でなくても新幹線はトラブルで止まることもあるので、そうなると3、4時間は外に出られない。弁当やお茶があったら非常食として役に立ちますよね。

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