毎年のように日本で大きな自然災害が起きている――そう感じている人も多いのではないでしょうか。災害大国に住む私たちにとって、自然現象や災害の仕組みを知り、日ごろから備えておくことは大切です。まずは雲研究者の荒木健太郎さんに、特に日本で起きやすい自然災害を教えてもらいましょう。(「Newsがわかる2025年9月号」より)
地震や台風などの自然災害は、日本全国どこでも起こります。そして、その発生数は世界的に見ても、とても多いのです。それは地球上の日本の位置が大きく関係しています。
地球の表面は十数枚の巨大なプレートでおおわれていて、それらは絶えず動いています。プレート同士がぶつかることによって、プレートそのものや内部の岩盤が急激にずれる現象が地震です。日本付近は四つのプレートが重なり合っているため、特に地震が多いのです。
また、下の図からは、およそ10年間で約98%の市区町村が大雨による水害を経験していることがわかります。これは、日本に梅雨があることや、台風の通り道であることが深く関係しているのです。



台風は、温かい海上で発達した積乱雲が集まった熱帯低気圧で、最大風速が17.2メートル毎秒以上のものを指します。夏に張り出してくる太平洋高気圧の風に乗って北上し、さらに日本付近の上空を吹く西風(偏西風)により日本列島をそうように進みます。8、9月にこうした代表的な進路をとります。
台風は、大雨や暴風、高波、高潮、竜巻をもたらします。また、台風の中心から1000キロ以上離れた場所に梅雨前線や秋雨前線などがあると、「遠隔豪雨」が引き起こされることもあります。
さらに最近の研究では、地球温暖化が進むと、日本の南の海で猛烈な強さの台風ができやすくなり、その上、日本付近をゆっくり進むといわれています。

★気象画像・イラスト/「すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑」(荒木健太郎・著、KADOKAWA)より
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