家畜のアニマルウェルフェアはどうあるべきでしょうか。この問題にくわしい東京農工大学農学部教授の新村毅さんに聞きました。(「Newsがわかる2025年6月号」より)
高度な動物福祉が求められる時代
― そもそも動物は「気持ちがいい、悪い」などと感じますか?
新村さん 世界基準でいうと、(ほ乳類、鳥類に加えて)魚までは「快・不快」を感じる脳の機能があることがわかっています。それについて今、ヨーロッパで議論になっているのが昆虫です。昆虫には痛覚のようなものがありますが、脳に快・不快を感じる機能があるかどうかはびみょうで、どちらともいえないという感じです。
恐怖や苦しみについても、動物にはそれらを感じる神経の束があります。いやな音をたてたり、別の環境に置いてみたりすると、(脳内で情報を伝えるための)神経活動が人と同じように活発化して、苦痛を感じていると明確にいえるデータがあります。