みなさんにとって、今年一番のニュースは何ですか? 国内外で今年もさまざまな出来事が報じられました。ニュースがわかる編集部は今年あった出来事から、社会に与えた影響や衝撃の大きさをもとに特に重要な10本を選びました。(「Newsがわかる2023年12月号」より)
新型コロナウイルスは2020年1月に国内初の感染者が確認されてから3年がたち、感染症法上の位置づけが5月、「5類」に引き下げられました。感染を防ぐ対策は個人や事業者の判断に任されるようになり、人と人がじかに接するかつての生活が戻り始めました。
◆マスクも旅行も個人の判断に
新型コロナは、変異株の出現や治療法の研究、ワクチン接種が進んだことで、死者や重症者の割合がある程度おさえられるようになりました。
政府は段階的に規制をゆるめ、3月にはマスクの着用を個人の判断にゆだね、4月には入国規制を撤廃。5月に5類感染症になると、旅行など人の移動や経済活動が本格的に再開しました。マスクをとって人と会い、話し、飲食をともにするという“コロナ前”の様子が徐々にみられるようになり、日本を訪れる外国人観光客(インバウンド)の数は8月にはコロナ前の8割まで回復しました。

観光客でにぎわう東京・浅草の仲見世通り=東京都台東区で2023年4月29日
◆マスクも旅行も個人の判断に
3年におよぶ新型コロナと向き合う日々は、社会に変化をもたらしました。オンラインでの授業やイベント、「黙食」などが広まり、病院や運送業、スーパーなどで働く暮らしに欠かせない「エッセンシャルワーカー」の存在に多くの人が気づきました。社会のしくみや働き方、人と交わる大切さを考える機会にもなりました。
文章や画像、動画、音声などを新たに作り出せる人工知能「生成AI」の利用が一気に広まりました。アメリカのベンチャー企業が開発した対話ができる「チャットGPT」などの活用を探る動きがあちこちで起き、社会がどう変わっていくのか注視されています。
◆企業 、 国や自治体 、 学校 でも
生成は新たに作り出すこと、AIは人工知能(Artificial Intelligence)のことです。生成するために自ら大量のデータを学習し、その学習をもとに目的に合わせて新たなものを生み出します。
これまでのAIも大量のデータを学習し、判断や予測ができましたが、創造することはできませんでした。専門知識がない人にも使いやすく、学習を重ねてより良いものが作り出せるため、企業や国、自治体、学校などさまざまな場所で使ってみようという動きが広がりました。
業務の効率化に役立つとされる一方で、生成した情報に含まれる誤りや偏見が拡散したり、著作権(作品を作り出した人の権利)を侵害したり、個人情報がもれたりする恐れが指摘されています。どのように使っていくのかは大きな課題です。


チャットGPTを利用する北海道庁の職員=札幌市中央区の道庁で2023年10月30日
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